アルゼンチン中銀、2,000ペソの新紙幣発行を承認、物価上昇に対応
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2023年02月10日
アルゼンチン中央銀行の理事会は2月2日、新たに2,000ペソ(約1,380円、1ペソ=約0.69円)紙幣を発行することを承認した。現在流通している紙幣は、10、20、50、100、200、500、1,000ペソの7種類。中銀は、最高額面の2,000ペソ紙幣の流通によって、現金の移動を最適化することができるとしている。
2,000ペソ紙幣の図柄は、カルロス・マルブラン細菌学研究所と、同国の医学の発展に貢献したセシリア・グリアソン、ラモン・カリージョ両博士になる。新紙幣の図柄は中銀のウェブサイトで確認できる。新たな額面の紙幣の発行は、2017年12月に1,000ペソ紙幣の流通が開始されて以来。その後は2ペソ、5ペソ紙幣の流通が廃止されていた。
2月3日付の現地紙「アンビト」(電子版)は、2,000ペソ紙幣の流通開始時期を2023年下半期と報じている。
アルゼンチンでは、消費者物価指数上昇率が2022年は94.8%に達するなど、慢性的な物価上昇に苦しんでおり、5,000ペソや1万ペソといった高額紙幣の発行が以前からうわさされてきたが、今回は2,000ペソ紙幣の発行にとどまった。1,000ペソ紙幣の流通が始まった2017年12月1日の公式為替レートが1ドル=17.63ペソだったのに対して、2023年2月3日の公式為替レートは1ドル=195.40ペソ。2017年当時の1,000ペソには約57ドルの価値があったが、2,000ペソを現在の為替レートで換算すると、約10ドルの価値にしかない。今後も為替の下落とインフレが進めば、中央銀行の言う現金の移動の最適化にはつながらない可能性が高い。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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