1月の消費者物価上昇率は6.0%で年率98.8%に、2月はさらに加速の見通し

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年02月22日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は214日、20231月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比6.0%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。前年同月比(年率)では98.8%上昇し、再び過去30年間で最高値を更新した(添付資料図参照)。物価上昇の勢いが止まらない状況にある。

前月比の物価の伸び率を1月単月でみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは、前月比7.9%と大きく上昇した。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスも7.1%上昇で加速した。季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は5.3%となり、前月と同水準だった。

前月比のCPI上昇率を費目別にみると、平均値の6.0%を大きく上回ったのは、夏のバケーションシーズンが影響した娯楽・文化(9.0%)、公共料金値上げの影響を受けた住宅・光熱・その他燃料(8.0%)とインターネットサービス料金の値上げの影響を受けた通信(8.0%)の3つ。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)も、季節的要因で野菜や果物が高騰し、6.8%となった(添付資料表1参照)。

年率でみると、CPI上昇率が100%を上回ったのは、衣類・靴類(120.6%)、外食・ホテル(109.9%)、酒類・タバコ(103.3%)、その他の財及びサービス(102.6%)、家財道具・住宅管理(101.2%)だった。

民間エコノミストらによると、2月のCPI上昇率はさらに加速することが見込まれている。電気やガスなどの公共料金、電話やインターネットサービス、医療保健、燃料などが値上がりするだけでなく、アルゼンチンの食文化で重要な牛肉の価格が大幅に上昇するとみられる。214日付現地紙「クラリン」(電子版)は、1月第3週から1カ月の間に、牛肉の店頭価格が平均30%上昇したことが確認されたと警鐘を鳴らしている。ジェトロが216日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査でも、牛ひき肉1キロが前月比86.7%増、リブロース1キロが同73.1%増加した。

セルヒオ・マッサ経済相は複数のインタビューで、インフレ率は4月に4%台から3%台に減速するとの見通しを述べている。ただ、民間エコノミストらは「2月から6月までの単月の平均インフレ率が5.5%を下回ることは難しい」と厳しい見通しを示している〔214日付現地紙「iプロフェッショナル」(電子版)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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