米エネルギー情報局、2023~2024年の製油所平均稼働率が90%超と予測

(米国、ロシア、欧州)

ヒューストン発

2023年02月17日

米国エネルギー情報局(EIA)は2月13日、2023年と2024年の米国製油所の平均稼働率(注)に関する見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて解説した。2023年の平均稼働率を90.8%、2024年は90.3%と予測している。

2020年の製油所平均稼働率は78.8%で、1997年にこのデータの収集を開始して以来、年間で最も低かった。2021年は86.6%、2022年は91%以上と、新型コロナウイルスのパンデミック前の水準に肩を並べている(2017年91.1%、2018年93.1%、2019年90.4%)。製油所では、メンテナンス期間や需要の少ない季節的な時期があるため、平均稼働率が95%を上回ることはほぼないとされている。

見通しでは、2023年のガソリンと軽油の石油製品価格は2022年よりも低くなるとみているが、春に製油所がメンテナンスを行うため、パンデミック前との比較では高い水準で推移するとしている。春のメンテナンスの影響で稼働率が低いと、夏前の生産が制限され、その反動で夏場やメンテナンスをしていない時に製油所が高い稼働率を維持するようになるという。

また、2023年と2024年は経済成長が鈍化すると予測しており、ガソリンとディーゼルの消費量は2022年と比較して減少し、石油製品価格は緩やかに下落するとしている。製油所の高稼働率に伴う石油製品生産量の増加が価格下落に寄与するとしている。一方で、2023年2月初旬から始まったロシアからEUへの石油精製品の上限価格設定(2023年2月9日記事参照)はさらなる混乱を招くリスクがあり、EIAの予測に大きな不確実性をもたらしているという。

(注)製油所で投入された原油やその他の油の量を、その製油所の総容量で除したもの。

(沖本憲司)

(米国、ロシア、欧州)

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