EU理事会、ロシア産ガソリンなど石油製品の域外国向け上限価格で合意、適用を開始

(EU、ロシア)

ブリュッセル発

2023年02月09日

EU理事会(閣僚理事会)は24日、ロシアからEU域外国に海上輸送される石油製品の上限価格について、製品により1バレル当たり100ドルと45ドルとすることで合意した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この上限価格は翌5日から適用を開始しており、EU域内の事業者は、今回設定された上限を超える価格で売買されたロシア産石油製品に関して、域外国への海上輸送のほか、技術支援、仲介、資金供給、保険付保といった関連サービスを提供することが禁止された。今回の合意は「上限価格連合(Price Cap Coalition)」と呼ばれる、日本やEUを含むG7諸国にオーストラリアを加えた枠組みによる合意に基づくものだ。

今回、上限価格が導入されたのは、CNコード(注)2710に分類される石油製品。軽油、灯油、ガソリンなど原油に対してプレミアムの付く石油製品に関しては、1バレル当たり100ドル、重油など原油に対してディスカウントされる石油製品に関しては、同45ドルがそれぞれ上限価格となる。ただし、55日間の移行期間が設定されており、25日以前に積み出し港で船積みされ、41日以前に最終目的地で荷揚げされる対象製品に関しては、上限価格は適用されない。

EU20226月、ロシアによるウクライナ侵攻に対する制裁パッケージ第6弾(2022年6月6日記事参照)の一部として、海上輸送によるロシア産石油のEU域内への輸入原則禁止を決定。EU域外国によるロシア産石油の輸入に関しても、域外国への供給を止めることなく、ロシアの石油収入を減らすことを目的に、G79月、ロシア産石油に対して上限価格を導入することで合意した。これに伴い、EU10月に制裁パッケージ第8弾(2022年10月7日記事参照)の一部として上限価格の導入を採択。12月からロシア産原油を対象にした上限価格を導入している(2022年12月6日記事参照)。

(注)EUの域外共通関税を設定するための合同関税品目分類表(CNCombined Nomenclature)。

(吉沼啓介)

(EU、ロシア)

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