欧州自動車部品工業会、再生可能燃料や欧州半導体法案に関する要望を発表

(EU)

ブリュッセル発

2023年02月10日

欧州自動車部品工業会(CLEPA)は2月6日、欧州の100以上の自動車、燃料や運輸関連の企業・産業団体および93人の科学者と連名で、大型車の二酸化炭素(CO2)排出基準に関する現行規則の改正に当たり、欧州委員会に対して持続可能な再生可能燃料の利用を考慮に入れることを求める共同声明を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。欧州委は、同改正案を2月14日に発表する予定だ。

CLEPAなどは、道路輸送部門は単一市場が機能するにあたって重要な産業部門であり、さまざまな技術や燃料を活用したクリーンな車両の開発の支援となる規制枠組みが求められると主張。合成燃料など持続可能な再生可能燃料は、EUの気候目標達成や道路輸送部門の完全な脱炭素化の早期実現に貢献するとして、改正案でこれらの燃料の利用を認める条項が入ることに期待を示した。

欧州半導体法案の早期成立も要望

CLEPAは2月7日には、欧州委が2022年2月に発表した欧州半導体法案(2022年2月10日記事参照、注)の早期成立を要望する声明を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同法案は、EU域内での半導体の研究開発・生産の強化と安定供給を目指すものだ。

ドイツ自動車産業連合会(VDA)の調査によると、自動車産業の半導体需要は2030年にかけて、電動化や自動運転技術の進歩などに伴い、現在の約3倍になる(2023年2月8日記事参照)。そのためCLEPAは、同法案の成立が遅れると、自動車業界にとっては「まさしくボトルネックとなりうる」と警鐘を鳴らし、半導体の供給不足による車両の電動化やデジタル化への影響に懸念を示した。そこで、同業界が力を入れる半導体の供給網への投資に確実性を与える政策枠組みが必要で、EUに対して同法案の成立に優先的に取り組むように求めた。また、欧州委および加盟国に対しては、米国やアジアと同様に、十分な財源を確保すべく調整を行うことを求めた。CLEPAは、欧州での投資も拡大しつつあるものの、米国では2025年までに欧州の約4倍の投資が行われるとして、公的部門からの投資規模や投資枠組みの条件が依然として不明瞭なことも、欧州産業界にとって懸念材料だ、と指摘した。

(注)調査レポート「EUデジタル政策の最新動向『EUの半導体政策と半導体法案の概要』(第1回)」(2022年8月)も参照。

(滝澤祥子)

(EU)

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