2022年のGDP成長率速報値は3.0%、前年より減速

(メキシコ)

メキシコ発

2023年02月02日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は1月31日、2022年の第4四半期(10~12月)と通年の実質GDP成長率(速報値)を発表した。2022年通年では3.0%となり、新型コロナウイルス感染拡大後の反動増がみられた2021年のGDP成長率と比べると減速した。第4四半期の成長率は前年同期比3.6%とプラス、前期比(季節調整済み)も0.4%のプラスを維持した。同四半期の成長率を主要産業別に前年同期比でみると、全ての産業でプラス成長となり、第一次産業(農牧林水産業)は6.3%増、第二次産業(鉱工業、建設、電力・水道)は3.0%増、第三次産業(サービス業)は3.6%増だった。

2022年は高いインフレ率と金利上昇に見舞われたが、その後、消費地の近隣諸国に事業拠点を移転するニアショアリングの流れにより、企業の生産移転が活発化した。メキシコの金融機関バンコバセの経済分析ディレクターのガブリエラ・シラー氏は「2022年の実質GDP成長率3%という数値は、新型コロナウイルスの危機から完全に回復したことを意味する。だが、ニアショアリングの追い風を十分に活用し、(民間と政府の投資を意味する)総固定資本形成という内部エンジンを回すことができたのなら、さらに大きな経済成長が得られたはずだ」と語った(「エル・フィナンシエロ」紙1月31日)。

経済アナリスト、2023年GDP成長率の低下を予想

マネックスの経済分析副代表のハネス・キロス氏は「実質GDP成長率は5四半期連続でプラスとなっており、スタグフレーションシナリオの可能性は事実上低い」と述べた。一方で、コンサルティング会社パンテオン・マクロエコノミクスに所属するラテンアメリカ担当シニアエコノミストのアンドレス・アバディア氏は「5四半期連続の成長にもかかわらず、高いインフレ率、金融引き締め、米国の景気後退の影響により、基本的なトレンドは明らかに下降している」と語った(「エル・エコノミスタ」紙1月31日)。

大手金融機関シティバナメックスが1月20日に発表した金融機関33機関に対するアンケート調査結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2023年の実質GDP成長率見通しは最低が0.3%、最高が1.8%、平均1.0%となっており、2022年よりも大きく減速するという見方が一般的だ。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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