「水素シンポジウム2023」がパタヤで開催
(タイ)
バンコク発
2023年02月28日
「水素シンポジウム2023」が2月23日、タイのパタヤで開催された。約400人を超える参加者でにぎわい、タイでの水素ビジネスへの関心の高まりがうかがえた。主催者は、ハイドロジェン・タイランド・クラブ(Hydrogen Thailand Club)で、同クラブの一員であるトヨタ・モーター・タイランド、バンコク・インダストリアル・ガス(BIG)、タイ石油公社(PTT)のほか、日本の経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、海外産業人材育成協会(AOTS)などが協力した。
Hydrogen Thailand Clubは、タイの水素官民コンソーシアムとして2020年に設立、今般、新規メンバーとして、チュラロンコン大学、上院エネルギー委員会(注)、日本の経済産業省がメンバー入りし、総勢20の政府、企業、関係機関で構成されている。
「水素シンポジウム2023」のオープニングセレモニー(Hydrogen Thailand Club提供)
開会のあいさつをしたHydrogen Thailand Club議長兼トヨタ・モーター・タイランド会長のニンナート・チャイティーラピンヨー(Ninnart Chaithirapinyo)氏は、タイ政府が宣言する2050年のカーボンニュートラル、2065年の温室効果ガス(GHG)ネットゼロ達成に向けた、水素活用の事例として、同社がBIG、PTT、PTTオイル・アンド・リテール・ビジネス(PTTOR)と共同で2022年にパタヤに開設した水素ステーションや、2023年から開始予定のウタパオ空港における燃料電池自動車(FCV)「ミライ」2台を活用した輸送サービス実証事業を紹介するとともに、気候変動対応に向けた具体的なアクションの重要性と同シンポジウムでのナレッジシェアに期待を示した。
このほか同シンポジウムでは、タイの大手発電事業者であるEGCOとの脱炭素化に向けたアンモニア混焼の共同検討(JERA)、陸路輸送や物流、ガス、化学など約6,000社の活用ポテンシャルがあるタイ水素市場における事業事例(NEDO)、水素エネルギー促進のための日本の取り組み(NEDO)、グリーン水素製造、プラント、混焼、風力と水素のハイブリッド活用事例〔タイ発電公社(EGAT)〕などが紹介された。
同シンポジウム会場に展示されたFCV「ミライ」(ジェトロ撮影)
同シンポジウムでは、タイ国内で初となる水素ステーションの視察がプログラムの一環として組み込まれ、同設備見学のほか、FCV「ミライ」と豊田通商フォークリフト(タイランド)の水素で動く燃料電池(FC)フォークリフトの展示とデモ走行が実施された。
水素ステーションとFCVミライ(ジェトロ撮影)
FCフォークリフト(ジェトロ撮影)
(注)議員による、エネルギーの利用・保存・開発などにかかる調査活動や法案検討を担う委員会。
(宮口莉央、ラウィワン・デーンエン)
(タイ)
ビジネス短信 49ddd720d381cd36