新型コロナ防疫の緩和も背景に、1月の製造業PMIが50上回る

(中国)

中国北アジア課

2023年02月02日

中国の国家統計局と物流購買連合会が1月31日に発表した1月の製造業購買担当者指数(PMI)は、前月(2022年12月)よりも3.1ポイント上昇の50.1となり、4カ月ぶりに50の境界線を上回った(添付資料図1参照)。一部地域で新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染再拡大が見られたことなどもあり、PMIは2022年9月(50.1)以降3カ月連続で低下していた。なお、1月の非製造業のビジネス活動指数も前月より12.8ポイント上昇して54.4と、2022年9月(50.6)以降で初めて境界線を上回った。

国家統計局サービス業調査中心の趙慶河高級統計師は同日、新型コロナ防疫措置が新たな段階に入ったことに伴い、生産面や生活面での秩序が徐々に回復したと指摘しつつ、製造業の景気はいち早く回復したとの見解を示した。

製造業PMIを構成する指数では、サプライヤー配送時間が前月より7.5ポイント上昇の47.6、新規受注が7.0ポイント上昇の50.9と大きく改善した。生産も5.2ポイント上昇と改善したものの、49.8と境界線は下回った。また、製造業PMI関連指数では、新規輸出受注が46.1、輸入が46.7と、それぞれ1.9ポイント、3.0ポイント改善したが、境界線を下回ったままだ。

企業規模別でみたPMIは、大型企業、中型企業、小型企業でそれぞれ52.3、48.6、47.2と、境界線を越えたのは大型企業のみとなった(添付資料図2参照)。

新型コロナの防疫規制の緩和が進み、1月8日からは新型コロナ感染者に対して隔離措置や濃厚接触者の判定を行わず、高・低リスク地区についても指定しないこととなった(2022年12月28日記事参照)。また、同日から入境者への入境後のPCR検査と集中隔離も取り消された(2022年12月28日記事参照)。各種交通機関の乗客に対するPCR検査陰性証明や健康コードの確認、到着地でのPCR検査や乗客の体温測定も実施しない状況となって、経済活動の正常化への期待が高まっており、これらがPMIなどの改善につながったとみられる。

急速な防疫規制の緩和に伴う感染再拡大も懸念されるが、1月30日の国務院共同防疫メカニズムの記者会見では、郷鎮衛生院と社区衛生サービスセンターの発熱診療室、一般外来、急患外来の受診者数は2022年12月21日のモニタリング開始以降、増加傾向から減少傾向へと転じ、現在は安定して減少しているとの見解が示された。さらに、1月21~27日の春節(旧正月)連休期間の発熱診療室の受診者数は低位に推移したことも指摘された。

IMFが1月31日に発表した「世界経済見通し(改訂版)」では、2023年の中国の経済成長率を前回予測(2022年10月時点)から0.8ポイント上方修正して5.2%とした。IMFは、中国では2022年に新型コロナの急速な感染拡大が成長の妨げとなったが、最近、国境を再び開放したことで当初の予想よりも速い回復の道筋がついたとしている。ただし、大都市圏以外での免疫レベルの低さや病院の収容能力の不十分さ、不動産市場の脆弱(ぜいじゃく)性などをリスク要因として指摘した。なお、2024年の中国の成長率は4.5%と見通している。

(宗金建志)

(中国)

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