タイ中銀の12月経済金融報告、工業生産が減速

(タイ)

バンコク発

2023年02月13日

タイ中央銀行(BOT)は2023年1月31日、2022年12月の月例経済金融報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。国内経済は、外国旅行者の増加に伴うサービス業の改善により、回復が続いていると評価した。一方、貿易相手国の需要が減速していることで、輸出額が前年同月比で縮小し、生産活動や民間投資への下押し圧力となっているとした。

工業生産指数は前年同月比8.2%減、前月比(注)では0.7%減となり、多くの分野で減少した。特に電化製品や化学製品で、世界需要の低下の影響を受けて縮小した。前月は好調だった自動車も減少した。他方で、メンテナンスにより停止していた製油所が再開したことから、石油製品は持ち直した。

需要面については、民間消費指数が前年同月比2.7%増、前月比1.4%増となった。外国人観光客の増加を背景に、サービス消費が増加したことが要因だ。民間投資指数は前年同月比2.9%減、前月比も1.2%減となり、全ての構成指数が前月より減少した。機械設備投資が製造業の生産減に伴い減少し、建設投資も建設許可面積の減少などを要因に減少に転じた。輸出額は、前月比で微増するも、貿易相手国の需要の弱まりから前年同月比では12.9%減となった。

12月の外国人観光客数は、224万1,200人と前月より約28%増加した。特にマレーシアとロシアからの観光客数が拡大した。渡航制限の緩和による好影響が持続しており、サービス業の回復、特に観光関連業の回復を支えていると評価した。

上述のとおり、外国人観光客数は増加傾向にある。しかし、エコノミストは、今後の中国人旅行者の増加が景気回復を後押しする一方、全体的には新型コロナウイルス感染症が流行する前の、4%台のGDP成長率に回復するにはまだ時間がかかるとみている(「バンコク・ポスト」紙2023年1月19日)。1月にIMFが公表した世界経済の見通しでは、タイのGDP成長率は2023年3.7%、2024年に3.6%と見込んでいる。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

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