2022年の実質GDP成長率は2.6%、2023年は2.7~3.7%の見通し

(タイ)

バンコク発

2023年02月24日

タイ国家経済社会開発委員会(NESDC)は217日、2022年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前年同期比1.4PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)だったと公表した。2022年第3四半期(79月)の4.6%から伸びが鈍化した。季節調整済み前期比はマイナス1.5%と、2022年第3四半期(79月)の1.1%からマイナスに転じた。2022年通年の実質GDP成長率は2.6%となり、2021年の1.5%からプラス幅が拡大した。

ロイターの調査(2915日実施、19人のエコノミスト予測の中央値)では第4四半期の成長率を4.5%と見込んでいたが、大きく下回る結果となった。季節調整済み前期比についても0.5%のプラスを見込んでいたが、こちらも予想を下回りマイナスに転じる結果となった。

2022年第4四半期(1012月)の実質GDP成長率(前年同期比)を需要項目別でみると、個人消費支出は5.7%増となり、前期(9.1%増)からは減速するも引き続き高い伸び率を示した。観光業界の回復に牽引され、宿泊施設、飲食サービスが好調だったことから、サービス支出は10.5%増となり、前期(16.0%増)に続き力強い伸びを示した。また、非耐久財も、食料や非アルコール飲料の消費が継続的に拡大したことから、3.7%増と前期(3.2%増)より加速した。他方、耐久財支出は0.8%減となり、前期(17.7%増)から縮小してマイナスに転じた。自動車購入が2.6%減(前期は33.2%増)となったことが主な要因になった。

総固定資本形成は、3.9%増と前期(5.5%増)から減速した。民間投資が4.5%増となり、前期(11.2%増)から減速したことが影響した。機械設備投資が5.1%増と、前期(14.2%増)から縮小したことが影響した。一方、公共投資は1.5%増と前期(6.8%減)から増加に転じ、4期ぶりにプラスとなった。国営企業の投資拡大(10.3%増)が主な要因だった。

輸出は0.7%減となり、前期(8.7%増)から縮小し、マイナスに転じた。主要貿易相手国の需要の低下などが要因で、商品輸出は10.5%減となった。一方、サービス輸出は主に外国人旅行者の増加が寄与し、94.6%増と顕著に加速した。

NESDCはまた、2023年の実質GDP成長率見通しPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)2.73.7%とし、202211月の見通し(3.0%~4.0%)から下方修正した。2023年におけるタイの経済成長は、(1)観光部門の回復、(2)民間・公共投資の拡大、(3)国内需要の継続的な拡大、(4)農業部門の順調な成長によって支えられるとしている。需要項目別の成長率は個人消費支出が3.2%増、民間投資が2.1%増、公共投資が2.7%増、財輸出額(ドル建て)は1.6%減などとし、ヘッドライン・インフレ率は2.53.5%、経常収支はGDP1.5%の黒字と予測した。

(藤田豊)

(タイ)

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