2022年のGDP成長率は8.7%、22年ぶりの高水準
(マレーシア)
クアラルンプール発
2023年02月24日
マレーシア中央銀行と統計局は2月10日、2022年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前年同期比7.0%だったと発表した〔添付資料「表1 需要項目別実質GDP成長率〔前年(同期)比〕の推移」、「図 実質GDP成長率と項目別寄与度の推移(前年同期比)」参照〕。中銀のプレスリリースによると、前期の2桁増から減速した原因は、景気刺激策による下支えと2021年第3四半期(7~9月)の反動増(ベース効果)による影響が弱まったためとした。
需要項目別にみると、GDPの6割弱を占める個人消費が前年同期比7.4%増だった。前期の15.1%増から減速したが、労働市場の改善などを背景に引き続き経済成長を牽引した。政府消費が2.4%増(前期4.5%増)、民間投資が10.3%増(前期13.2%増)、公共投資が6.0%増(前期13.1%増)と、他の項目もいずれも減速した。
産業別でも、全ての産業(農業、鉱業・採掘、製造業、建設、サービス)で前期から減速した。GDPの6割弱を占めるサービス業は前年同期比8.9%増と、前期(16.7%増)から減速したが、とりわけ小売り、食品・飲料、住宅などは2桁増と堅調さを維持し、景気を下支えした(添付資料表2参照)。製造業は3.9%増(前期13.2%増)に減速した。世界的に半導体の売り上げが鈍化しているものの、電気機器や電子部品・通信機器・家電は受注残の消化によって底堅く拡大し、引き続き経済成長に寄与した。一方、ゴム製品、プラスチック製品、コンピュータ・周辺機器は振るわなかった。その他では、建設業が10.1%増(前期15.3%増)、鉱業・採石が6.8%増(前期9.2%増)、農業が1.1%増(前期1.2%増)といずれも前期の伸びを下回った。
中銀は先行きを楽観視
2022年通年の実質GDP成長率は、とりわけ民間消費に支えられ、8.7%増(前年3.1%増)と、2000年以来22年ぶりの高水準だった。ノル・シャムシア中銀総裁は2023年の経済成長見通しについて、外需不振が懸念材料となるものの、底堅い内需や中国国境の再開が下支えし、景気は減速しても景気後退にまでは至らないと楽観的な見方を示した。正式な成長率予測は、2月24日に予定されている2023年度国家予算案の発表時に公表する(2月10日付「ザ・スター」)。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
ビジネス短信 2d360554d629639e