米燃料電池・水素エネルギー協会、ロングビーチで水素・燃料電池のセミナー開催

(米国、日本、韓国)

ロサンゼルス発

2023年02月22日

米国燃料電池・水素エネルギー協会(FCHEA)は279日、「2023水素・燃料電池セミナー」をロングビーチ・コンベンションセンターで開催した。同協会は2017年からこのイベントを開いており、今回が3回目となる。水素・燃料電池に関連する複数の講演やパネルディスカッションが行われたほか、展示会場では最新の水素や燃料電池に関連した技術や製品が紹介された。同イベントは、2019年に行われた前回の第2回以降、新型コロナウイルス感染拡大で開催が見送られており、4年ぶりの開催となった。主催者によると、全米各地からの参加者を含め、世界22カ国から1,000人超が参加した。

セミナーでは、水素・燃料電池産業の政策立案者や技術者による講演が行われ、エネルギー省は米国の水素政策「クリーン水素戦略とロードマップ」を説明した。この政策は現在、専門家や企業から意見を募っている最中でもあり、参加者から多くの質問が寄せられた。先端技術を開発している企業による水素・燃料電池の開発状況や今後の戦略なども紹介され、水素や燃料を取り扱う際の安全性の検証や技術的な課題も取り上げられた。

写真 米国燃料電池・水素エネルギー協会によるセミナー(ジェトロ撮影)

米国燃料電池・水素エネルギー協会によるセミナー(ジェトロ撮影)

また、水素普及を進めているカリフォルニア州ランカスター市とスマート姉妹都市の福島県浪江町のパートナーシップ提携にハワイ郡が加わった日・米の計3自治体による「H2トランス・パシフィック・チーム」が米エネルギー省による水素普及に関する複数・多都市間知見共有イニシアチブ「H2ツインシティー」の2022年対象チームに選定されたと紹介された。そのほか、韓国の政府関連組織の韓国水素融合アライアンス(Korea’s Hydrogen Convergence Alliance、H2Korea )が2020年に燃料電池・水素エネルギー協会とMOUを締結したことから、韓国の産業エネルギー産業省水素経済政策局長代行が冒頭で講演し、H2Koreaの技術紹介も行われた。

参加者には米国航空宇宙局(NASA)関係者やエアバス、ゼネラルモーターズ(GM)などメーカーの技術専門家に加え、インフラ事業開発、発電やガス事業者、燃料輸送事業や航空・宇宙、自動車、ディスペンサー設備、機器、部品、材料など広範囲にわたる業界の事業関係者が含まれており、米国で急速に変化している水素・燃料電池の産業分野でのビジネス機会を模索した。会場ではネットワークセッションも設けられ、関係者は精力的に意見交換を行っていた。展示会場では74社が交通や建設、発電に関連した設備や製品の展示を行った。日本からは6社が出展し、トヨタは燃料電池トラック、ホンダは燃料電池自動車を展示した。米省庁の省庁関係者の視察もあり、民間企業との意見交換も行われた。

写真 実証実験に使用されたトヨタとケンワース(Kenworth)の共同開発の燃料電池トラックT680の展示(ジェトロ撮影)

実証実験に使用されたトヨタとケンワース(Kenworth)の共同開発の燃料電池トラックT680の展示(ジェトロ撮影)

ジェトロは「日本水素フォーラム(JH2F)」をアピール

同イベント開催前日の6日には、ジャパンハウスが水素化・脱炭素化に向けた社会を考えるシンポジウム「水素・炭素マネージメントシンポジウム(Hydrogen & Carbon Management Symposium)」をロサンゼルス港で開催した。在ロサンゼルス日本総領事館とジェトロが協力し、日米間での水素事業の支援「JH2F」の活動として、カーボンニュートラルを目指す水素事業を行う日系企業の最新の水素技術を米国関係者に紹介した。会場にはロサンゼルス郡経済開発局長やランカスター市長のほか、ロサンゼルス港湾関係者、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)炭素管理研究所関係者らが訪れ、日本の最先端の技術に関心を示した。

(サチエ・ヴァメーレン)

(米国、日本、韓国)

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