米国の経済見通しが懸念される中、共和党支持者は債務削減をより重視、シンクタンク調査

(米国)

米州課

2023年02月08日

米国の経済状況の評価や経済見通しに対する悲観的な見通しが続く中(2023年2月1日記事参照)、優先事項として債務削減を重視する傾向が高まっていることが、米国シンクタンク調査からわかった。

シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは2月6日、大統領や議会が米国内で対処すべき優先事項などに関する世論調査結果(注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、「経済の強化」(75%)、「ヘルスケア費の削減」(60%)、「テロ対策」(60%)、「政治におけるカネの影響の削減」(59%)、「メディケアの財政健全化」(58%)、「債務削減」(57%)、「犯罪の減少」(57%)、「教育改善」(57%)、「違法薬物の減少」(53%)、「移民対応」(53%)、「エネルギーシステムの改善」(52%)などが優先事項として上位に挙がった。

特に「債務削減」は1年前の調査時(45%)より12ポイント上昇しており、注目度が高まったといえる。支持政党別では、共和党支持者の71%が「債務削減」を優先事項と回答しており、民主党支持者(44%)より重視する傾向が高く、1年前の調査時(63%)より8ポイント上昇した。民主党支持者でも、1年前の調査時(31%)より13ポイント上昇した。

その他、共和党支持者が重視する傾向が強いのは、「経済の強化」(84%)、「移民対応」(70%)、「テロ対策」(65%)、「犯罪削減」(65%)などだ。民主党支持者が重視する傾向が強いのは、「ヘルスケア費の削減」(71%)、「経済の強化」(68%)、「メディケアの財政健全化」(68%)、「環境保護」(67%)などだ。

「新型コロナウイルス感染拡大への対応」は今回26%と、1年前の調査時(60%)より大きく後退した。

人種別でみても、「経済の強化」(黒人77%、白人、ヒスパニックともに76%)が共通して最も重視されているが、黒人では「ヘルスケア費の削減」(76%)、「メディケアの財政健全化」(74%)、「貧困問題対応」(73%)、「教育改善」(72%)、「人種問題への取り組み」(72%)、「テロ対策」(70%)などを重視する傾向が顕著だった。ヒスパニックでは「雇用状況の改善」(68%)、「教育改善」(67%)、「犯罪削減」(64%)、「ヘルスケア費の削減」(63%)などが上位に挙がった。

(注)実施時期は1月18~24日、回答者は全米の成人5,152人。

(松岡智恵子)

(米国)

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