カナダ下院、1万人のウイグル族避難民受け入れをカナダ政府に求める動議を全会一致で可決

(カナダ、中国)

米州課

2023年02月02日

カナダ下院は2月1日、中国での弾圧から逃れた1万人のウイグル族避難民を受け入れるよう、カナダ政府に求める動議(M-62)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを全会一致で可決した。2024年から2年間で1万人の避難民を受け入れることを政府に求める内容となっている。

動議は2022年6月に自由党のサメール・ズベリ議員が提出したもので、それ以来、半年以上にわたる賛成獲得に向けた議員らへの説得を経て、今回の可決に至った。カナダでは2021年1月に、ウイグル族やテュルク系イスラム教徒に対する中国の弾圧をジェノサイドとして非難する動議が可決されたが、その際、ジャスティン・トルドー首相をはじめとする閣僚らは決議投票を棄権していた。だが今回は、報道によると、トルドー首相や閣僚らも支持票を投じた。この動議は政府に対し拘束力を持つものではないが、賛成票を投じた閣僚の1人のショーン・フレイザー移民・難民・市民権相は、明白なコミットまではしないものの、下院で可決された動議で言及している措置を進めるために「全ての政党のメンバーと協力することを約束する」と述べている(「グローブ・アンド・メール」紙2月1日)。

ズベリ議員は、動議に対する閣僚の支持とフレイザー移民相の発言の両方について、1万人の難民受け入れという公約と解釈しているとコメントしている。また、同議員は、満場一致でM-62に賛成票を投じたことで、カナダ政府は進行中のウイグル族弾圧に対処する正しい措置を講じたとし、それは「中国に正しいメッセージを送るものだ」と付け加えた(「グローブ・アンド・メール」紙2月1日)。

決議された動議によると、政府に決議日から100日会期以内に政府は避難民受け入れ計画をどのように実施するかについて、報告書を下院に提出することを求めており、今後の政府の対応が注目される。

中国・新疆ウイグル自治区の人権問題について、カナダ政府は2022年9月1日、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が公表した報告書を支持する声明を発表し、中国政府に対し、同報告書で提起さ​れた懸念と勧告に対応するよう求めている。また、中国政府による責任を明確にするために、国際的なパートナーと協力して協調行動を取り続けるとの意向を表明している(2022年9月5日記事参照)。

(高山さわ)

(カナダ、中国)

ビジネス短信 221b31f96c5af067