クラウドサービス企業が投資を拡大

(サウジアラビア、米国、中国)

リヤド発

2023年02月13日

サウジアラビアの首都リヤドで269日に開催された大規模テックイベント「LEAP2023」(2023年2月13日記事参照)において、アブドラ・アル・スワハ情報通信技術相が90億ドルを超える投資計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

内容をみると、米国マイクロソフトによる大型クラウド設備(21億ドル)、米国オラクルの新クラウド設備計画(15億ドル)、中国ファーウェイによる新クラウド計画(4億ドル)、米国ズームとサウジ・アラムコの提携によるクラウド計画など、クラウドサービスの比率が高い。

複数の地場系大手通信事業者もクラウド分野の投資を発表した。地場の携帯電話大手のZainは米国のアマゾンと覚書を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。アマゾンが提供するクラウドサービスのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とZain5G(第5世代移動通信システム)通信インフラを組み合わせて高品質のクラウドサービスを提供する予定だ。同業のMobilyもアマゾンとの間で同種の覚書を締結した。

政府向けサービスではデータ・ローカライゼーションを要求

クラウドサービスを利用した事業計画の発表が続く背景には、成長著しいサウジアラビア市場で事業基盤整備を急ぐ多国籍企業が多いことに加えて、政府向けサービスの分野でデータ・ローカライゼーションが求められることが理由とする見方が多い。202012月に施行された「クラウドコンピューティングの規制の枠組み(第3版)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」では、政府機関のデータについて、目的または形式を問わず国外に移転することが明確に禁じられている(同資料3-3-8)。このため、クラウドサービスを提供するには、「サーバーを国内に設置する以外、対処方法はない」という(現地法律事務所関係者)。政府機関のデータを扱うクラウドサービス分野では、今後も同様の投資が続く可能性が高い。

(秋山士郎)

(サウジアラビア、米国、中国)

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