産業界は2023年度国家予算案を高く評価

(インド)

ニューデリー発

2023年02月14日

インド財務省が2月1日に発表した2023年度(2023年4月~2024年3月)の国家予算案(2023年2月14日記事参照)を歳出入別にみると、歳出は総額45兆310億ルピー〔約72496億円、1ルピー=約1.6円、前年度(修正値)比7.5%増〕、借り入れ(公債金)を除く歳入は総額27兆1,628億ルピー(同11.7%増)となっている。財政赤字は対GDP比で5.9%と、前年度の6.4%から縮小する見込みとなった。

歳出全体を主要分野別(利払い費・補助金・州政府交付金を除く)でみると、前年度比3割以上となった交通(5兆1,703億ルピー)が最大となり、次いで前年度最大だった防衛(4兆3,272億ルピー)、農村開発(2兆3,820億ルピー)となった(添付資料表参照)。

歳入面では、直接税では、法人税率に変更がなかった一方で、個人所得税で非課税所得の拡大や累進課税の税率を軽減した(注)。基本関税率は、一部の化学品や石油化学品、携帯に組み込まれるカメラ用レンズなどの品目で引き下げた一方、完成車やノックダウン車、自転車や玩具などの品目で引き上げた(詳細は財務省発行文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)参照)。

今回の国家予算案については、産業界やメディアから好意的に評価する声が多い。インド工業連盟(CII)のサンジブ・バジャジ会長は、個人所得税率の軽減は個人消費の拡大に寄与し、インフラ設備投資の拡大は産業全体の生産性向上や雇用創出にもつながるとして、歓迎すると表明した。インド商工会議所連盟(FICCI)のスブラカント・パンダ会長は、現実的な経済見通しに基づく財務状況を踏まえているとして、信頼できる予算案と評価した。

他方、インド政策研究センター(CPR)のナブロズ・デゥバシュ教授は、環境に配慮した成長戦略として水素や蓄電、ガスなどの促進を予算案に含めている点を評価しつつも、再生可能エネルギーを活用した農村部の生産性向上につながる施策がない点は残念と評した。

(注)新個人所得税制度適用の場合。予算案の詳細はインド政府の予算案ポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公開されている。

(広木拓)

(インド)

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