財務省が2023年度国家予算案を発表

(インド)

ニューデリー発

2023年02月14日

インド財務省は2月1日、2023年度(2023年4月~2024年3月)の国家予算案を発表した。ニルマラ・シタラマン財務相は同日の発表演説で、インド独立100周年の2047年までに目指す国家像に向かって引き続きまい進すべきと述べたほか、課題の多い国際情勢下でインドが2023年のG20議長国として果たすべき責務は大きいとして、2023年度を重要な1年と位置付けた。

今回の予算案の7本柱として位置づけた主な施策は以下のとおりだ。

  1. インクルーシブ開発(Inclusive Development):農業分野のスタートアップを奨励する基金の創設、医療従事者や教師などの人材育成
  2. 国民1人1人への到達(Reaching the Last Mile):社会経済的に特に脆弱(ぜいじゃく)な部族グループ(PVTG)向けの3カ年支援計画の開始(教育機会の創出を含む)、カルナータカ州の干ばつ地域でのマイクロ灌漑や飲料水貯蔵タンクの普及
  3. インフラ投資:インフラ設備投資の拡大〔10兆ルピー(約16兆円、1ルピー=約1.6円)、前年度比33%増〕、鉄道への大規模投資を中心に、地方への空路拡充にも注力
  4. 潜在能力の引き出し:新しい国家データ管理政策を通じたスタートアップや研究機関によるイノベーション促進、企業向け電子書類金庫(DigiLocker)プラットフォームの開発、第5世代移動通信システム(5G)サービスの研究開発
  5. グリーン成長:エネルギー転換に向けた設備投資促進、廃棄物リサイクル施設500カ所の新設
  6. 若年層の活躍支援:プログラミング、人工知能(AI)、ロボット、機械工学など、産業と連携した研修の充実化、今後3年間で若年層470万人への奨学金提供
  7. 金融分野:零細中小企業に対する信用保証枠の拡大(900億ルピー)、会社法に基づく手続きの一元化窓口となる中央データ処理センターの設立

製造業振興の目玉政策である生産連動型奨励策(PLI)については、現行の14重点分野に加え、適用対象分野をさらに拡大する可能性が有力視されていたが、予算案には盛り込まれなかった。

(広木拓)

(インド)

ビジネス短信 c45e51e124da17f6