リヤド市北西部の大規模開発計画が明らかに

(サウジアラビア)

リヤド発

2023年02月20日

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相は2月16日、「新ムラッバ(Murabba)開発会社(NMDC)」を新たに設立し、会長に就任することを発表した〔2月16日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。同社はリヤドで世界最大規模の近代的なダウンタウンを開発することを目的とし、政府が掲げる国家改革「ビジョン2030」に沿った都市の発展への貢献を図る。

新ムラッバ計画は、持続可能性のコンセプトに基づいて建設される。緑地とウオーキング、サイクリングの小道を備え、健康的で活動的なライフスタイルとコミュニティー活動の促進を通じて、生活の質の向上を図る。また、計画では、象徴的な博物館や、技術とデザイン分野の大学、没入型の多目的劇場、80カ所を超えるエンターテインメントと文化施設の設置を予定している。

このプロジェクトは、リヤド市北西に位置するサルマン国王通りとハリード国王通りの交差点に位置し、総面積19平方キロの土地に、数十万人の居住を見込む。床面積の合計は2,500万平方メートル以上で、140万平方メートルのオフィススペース、62万平方メートルのレジャー資産、180万平方メートルのコミュニティー施設専用スペースと併せ、10万4,000戸超の住宅、9,000室を超える宿泊施設、98万平方メートル以上の小売りスペースを提供する。同プロジェクトは独自の生活空間の提供を目指しており、敷地内の空間は徒歩15分以内で生活、仕事、娯楽体験が可能で、独自の内部輸送システムも備える計画となっている。

新たな巨大ランドマークの設立も予定

NMDCは、最新の革新的な技術を用いた象徴的なランドマークとなる「ムカーブ(Mukaab)」の建設を計画している。モダンなナジュド(Najdi)建築様式(注)に着想を得たムカーブは、高さ400メートル、幅400メートル、長さ400メートルの世界最大級の建物となる予定だ。ムカーブには、世界初の最新のホログラフィックスを備えたデジタルと仮想テクノロジーを用いた体験を提供する施設となる計画だ。

NMDCの立ち上げはサウジアラビアの公的投資基金(PIF)が進める、経済社会開発戦略の一部として位置付けられている。完成が見込まれる2030年までに国内総生産の非石油分野で新たに1,800億リヤル(約6兆4,800億円、1リヤル=約36円)の付加価値とともに、33万4,000人の直接・間接雇用を創出することが期待されている。

(注)アラビア半島中央部に特有の建築・装飾の様式。

(秋山士郎)

(サウジアラビア)

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