英シェル、米メキシコ湾石油・ガス生産施設「ビト」で生産開始

(米国、英国、ノルウェー)

ヒューストン発

2023年02月21日

英国石油大手シェル(本社:ロンドン)の米国子会社シェル・オフショア(本社:テキサス州ヒューストン)は2月16日、シェルが運営する米国メキシコ湾の浮体式石油・ガス生産施設「ビト」で生産を開始したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

発表によると、ビトはピーク時の石油・ガスの生産量は日量10万バレル(石油換算)と見積もられており、シンプルでコスト効率の高い設計(注)を採用した、同社初の深海向けプラットフォームとされている。

ビトによる海洋石油・ガス開発には、シェル・オフショアが63.11%、ノルウェーのエネルギー大手エクイノール(本社:スタバンゲル)が36.89%出資している。2015年に設計を見直し、簡素化した結果、同施設は耐用年数にわたって二酸化炭素(CO2)の排出量を約80%削減するとともに、当初の計画よりも70%以上のコスト削減を実現したという。

シェルのアップストリームディレクターのゾーイ・ユジノビッチ氏は「ビトは、2050年までのネットゼロ達成に向け、弾力性を保ちながら、現在と将来のエネルギー需要を満たすために当社がどのようにプロジェクトに取り組んでいるかを示す素晴らしい例だ。40年以上に及ぶ深海での知見を基に、ビトのようなプロジェクトは、石油生産において世界で最も低い温室効果ガス(GHG)強度を誇るメキシコ湾から大きな価値を生み出すことができる」と述べた。

シェルはメキシコ湾での石油・ガス開発を進めている。オーストラリアのエンジニアリング会社ウォーリーは2022年7月、シェルが保有するメキシコ湾沖の石油・ガス掘削・生産施設のエンジニアリング契約を受注したと発表している(2022年7月20日記事参照)。

(注)ビトの船体の99%、トップサイド(船体の甲板上)の80%で、シェルが有する石油・ガス生産施設の標準設計基準を採用している。

(沖本憲司)

(米国、英国、ノルウェー)

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