豪ウォーリー、英シェルのメキシコ湾石油・ガス生産施設エンジニアリング契約受注を発表

(米国、英国、オーストラリア)

ヒューストン発

2022年07月20日

オーストラリアのエンジニアリング会社ウォーリーは718日、英国の石油大手シェルが保有する米国・メキシコ湾沖の石油・ガス掘削・生産施設(プラットフォーム)のエンジニアリング契約を受注したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。シェルは現在、メキシコ湾で8つの石油・ガスプラットフォームを操業しており、今回のプロジェクトでそのうち5つのプラットフォームが対象となる。

ウォーリーはタイバック(注1)施設の地上部分の改造や、大型のウォータフロッド(注2)装置のモジュール化、その他の各設備のアップグレードなどを実施するとしている。同社は発表で「世界で最も温室効果ガス(GHG)排出量が少ない地域の1つとされるメキシコ湾での石油・ガス生産で、二酸化炭素(CO2)排出量をさらに削減するというシェルの取り組みを支援するものだ」としている。

同プロジェクトは、ウォーリーがルイジアナ州とテキサス州に所有する同社拠点で実施するほか、インドやそのほかの海洋開発技術を持つ戦略的拠点の設計部門によってサポートされることしている。

ウォーリーのシニアバイスプレジデントのジム・レントン氏は「(同社とシェル)両社の30年以上の連携は、メキシコ湾での海洋開発事業と地域社会にプラスの影響を与える絶好の機会だ」「このプロジェクトは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを支援する当社の姿勢を示す好例だ」と述べている。

シェルは米国で脱炭素の取り組みを進めている。67日には再生可能エネルギー100%電力提供による米国テキサス州の家庭用電力市場への参入を発表していた(2022年6月8日記事参照)。

メキシコ湾の最近の事業拡大に向けた動向として、517日に米国石油ガス廃抗サービス企業のヘリックス・エナジー・ソリューションズは同湾での事業拡大のため、米国で同業者のアライアンス・エナジー・サービシズの買収契約締結を発表した(2022年5月19日記事参照)。711日には米国エンジニアリング大手フルアは米国液化天然ガス(LNG)生産企業ニュー・フォートレス・エナジーから、ルイジアナ州のメキシコ湾南東沖で連邦政府が管轄する水域に建設予定のLNG生産施設「ファストLNG」の設計・調達・製造管理に関する着工指示書受領を発表した(2022年7月14日記事参照)。

(注1)海洋石油・ガス生産に際して海上の浮体式プラットフォームを用いず、海底の油井口から海底パイプラインを繋ぎ、地上施設に輸送する方式。

(注2)石油・ガス掘削に際して油層に水を圧入することで油層内の圧力を上昇・維持し、石油・ガスを回収する方式。

(沖本憲司)

(米国、英国、オーストラリア)

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