カナダ政府、「グリーン産業施設・製造プログラム(GIFMP)」を新たに立ち上げ

(カナダ)

米州課

2023年02月14日

カナダ天然資源省は2月10日、エネルギー性能と産業競争力の最大化をはかるべく、産業施設と製造業の脱炭素化を進める企業に助成する新制度「グリーン産業施設・製造プログラム(GIFMP)」の立ち上げを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。1案件につき最大2,000万カナダ・ドル(約19億8,000万円、Cドル、1Cドル=約99円)助成する(プログラムの詳細はGIFMPのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照)。

GIFMPでは、エネルギー評価や監査、エネルギー管理実務者のトレーニング、施設のエネルギーシステム、プロセス、インフラの改修やアップグレードなどの設備投資といった活動を支援し、対象組織のタイプにより、2種類(トラック)に分けて資金助成を行う。

現在公募受け付け中のトラック1「エネルギー効率化ソリューション」は、州、準州、電力会社、および既存の産業ネットワークを含むその他の組織を対象としており、助成の上限は、州・準州・自治体政府およびその省庁・部門、先住民、登録非営利団体では2,000万Cドルを上限に実施費用の最大100%、民間営利団体(電力会社、コンサルティング会社、研修機関、業界団体など)は2,000万Cドルを上限に実施費用の最大75%までとなる。応募締め切りは2023年3月末で、申請書はカナダ天然資源省から電子メールでの請求により入手が可能となっている。

2023年春に公募開始予定のトラック2「産業施設」は、個々の施設内でのエネルギー効率化プロジェクトを直接支援する。助成資金上限は公募受け付け開始時に発表される。

カナダの2022年度連邦予算(2022年4月12日記事2022年11月11日記事参照)には、天然資源省が既存の産業エネルギー管理プログラムを拡張し、2027年3月までのエネルギー効率化対策の包括的かつ総合的な対策に対して資金援助を提供する使途で1億9,400万Cドルの拠出が盛り込まれており、GIFMPの資金はそこから拠出されることになるという。

GIFMPについて、ジョナサン・ウィルキンソン天然資源相は「電力会社や州・準州を含む産業界のパートナーらが、エネルギー効率を高め、廃棄物や汚染を減らし、良い雇用を創出することを支援するもの。このような投資は、持続可能で低炭素な未来に向けたカナダの前進に不可欠だ」と述べている。スティーブン・ギルボ環境・気候変動相も、GIFMPは「企業のコスト削減と競争力維持に貢献し、クリーンテクノロジー従事者に良好な雇用機会を提供するもの」と述べている。

カナダでは、産業部門がエネルギー使用量の40%、温室効果ガス排出量の50%と大きな割合を占めていることから、同部門におけるエネルギー効率の最大化と排出量削減は非常に大きな意味を持っている。同時に、グローバル市場では、二酸化炭素排出量の少ない工業製品が好まれ続けていることから、カナダの工業施設と製造工程の脱炭素化を進めることは、大気汚染の防止のみならず、産業の競争力維持にもつながるとしている。

(高山さわ)

(カナダ)

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