米サンフランシスコ関係当局、ウェイモとクルーズの自動運転サービス拡大に反対、交通の妨げなど通報多発を受け

(米国)

サンフランシスコ発

2023年02月06日

米国カリフォルニア州サンフランシスコ市営交通局(SFMTA)、サンフランシスコ市長障がい者オフィス(MOD)、サンフランシスコ郡交通局(SFCTA)(以下、サンフランシスコ関係当局)は123日と25日、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)消費者保護・執行部に対し、同市内で無人の自動運転車(AV)配車サービスを展開するウェイモとクルーズがほぼ制限なしで同サービスを拡大させることに反対する書簡を、それぞれ連名で送付した(ウェイモPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)クルーズPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

カリフォルニア州では、クルーズが20226月からサンフランシスコ市内の一部で有料のAV配車サービスを(2022年6月7日記事参照)、ウェイモは11月からサンフランシスコ市内を含むベイエリアの複数都市で実証事業としてAV配車サービスを展開している(2022年12月1日記事参照)。今回のサンフランシスコ関係当局による共同書簡は、同市内でAV車両による交通の妨げなどが多発していることから(2022年7月21日記事参照)、クルーズが12月にCPUC宛てに送付した同市内でのサービス拡大の許可を求める書簡(エクスパンション・アドバイス・レター、注1)と、ウェイモが同じく12月に送付した商業化の許可を求める書簡(ウェイモ・アドバイス・レター、注2)それぞれに、異議を唱えるものだ。サンフランシスコ関係当局の共同書簡によれば、2022529日から1231日までの期間で、AVに関連した通報が92件となっている。停止状態のクルーズのAV複数台が道路をふさいで公共バスの運行に支障が出た事例や、市内中心部の火災現場にクルーズのAVが侵入して消火ホースを踏みそうになった事例などが報告されている。サンフランシスコはCPUCに対し、両社が最も厳しい状況下で安全上などの問題なく走行できるようになるまで、走行範囲を市内ダウンタウン中心部から外し、移動がピークとなる時間帯(平日午前710時、午後47時)を避けるなど、より制限のあるサービスの実施を提案している。

(注1)同社のAV配車サービスには、現時点で、営業時間が夜間(午後10時~午前6時)に限定されるなど一定の制限が設けられている。他方、エクスパンション・アドバイス・レターは、営業時間を24時間365日とし、AV100台で開始してその後同社の判断で増やすことができるなど、大幅なサービス拡大を望む内容だ。

(注2)ウェイモ・アドバイス・レターは、利用するAV数に上限を設けず、ダウンタウン中心部を含むサンフランシスコ全域で、昼夜を問わず走行するための許可などを求めている。サンフランシスコ関係当局は同社の商業化に反対しているのではないが、同社がCPUCに求めている許可の内容は、市内における同社初の有料AV配車サービスとしては無理があるとしている。

(田中三保子)

(米国)

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