米ワイオミング州で2035年までにEV販売禁止の法案を議会に提出

(米国)

サンフランシスコ発

2023年01月24日

米国ワイオミング州議会で113日、石油・ガス産業の保護などを目的に、2035年までに州内で電気自動車(EV)の新車販売を禁止する法案(SJ0004外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが提出された。

同法案はEV販売禁止の背景として、EVバッテリーの材料に含まれる重要鉱物の国内供給が限られており、同州と全米でEV充電施設を拡充するには膨大な電力の供給が必要なこと、石油・ガス産業に対する一貫した投資がこれまで多くの雇用を生み出してきたことなどを挙げている。また「ガソリン車を犠牲にしてEVを普及させれば、ワイオミング州のコミュニティーに悪影響を及ぼし、州経済や米国の効率的な商取引に弊害をもたらす」としている。同州は原油生産で国内州別8位、石炭生産で国内トップかつシェア4割を占めており(2021年)、ルイジアナ州に次ぐエネルギー集約型の経済を形成している。

米国では近年、脱炭素化を推進する動きが強まっており、カリフォルニア州(2022年9月1日記事参照)、ワシントン州、オレゴン州(2022年12月27日記事参照)などで、2035年までにガソリン車の新車販売を禁止することが決まっている。今回の法案を作成したジム・アンダーソン州上院議員(共和党)はメディアに対し、「EVに異議を唱えるつもりはない」としながら、「誰かに『ガソリン車をこれ以上買うな』と言われるのは問題だと感じている。われわれはガソリン車を禁止する決定を下した州に不満があるというメッセージを発しただけだ」と答えた(「ワシントン・ポスト」紙電子版117日)。

(田中三保子)

(米国)

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