2022年の貿易額は過去最高も、伸び率は鈍化

(台湾)

中国北アジア課

2023年01月10日

台湾財政部が1月7日に発表した貿易統計速報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、台湾の2022年通年の貿易額は、輸出が前年比7.4%増の4,795億2,198万ドル、輸入が11.9%増の4,275億9,967万ドルとなった。いずれも過去最高額を更新したが、伸び率は前年に比べて鈍化した(2022年1月13日記事参照)。貿易収支は19.4%減の519億2,231万ドルで黒字を維持したものの、黒字幅は前年から縮小した。

輸出を国・地域別にみると、最大の輸出先の中国向けは前年比3.8%減だった(添付資料表1参照)。中国向け輸出では、電子部品は13.5%増と2桁増を維持したが、情報通信機器や光学器材の減少が響いた。そのほかの主要輸出相手を見ると、ASEANは14.8%増、米国は14.3%増、香港は2.9%増、欧州は6.8%増、日本は15.1%増だった。これらの5カ国・地域の年間輸出額はそれぞれ過去最高を更新した。

輸入では、中国が前年比1.8%増、ASEANが14.1%増、米国が16.3%増、欧州が7.5%増、日本は2.7%減だった。日本からの輸入では電子部品やプラスチック・ゴムおよび同製品などが減少した。原油の主要な輸入相手の中東については、輸入額が41.6%増加した(注)。

商品別輸出では、電子部品(16.4%増)、鉱産品(63.2%増)、情報通信機器(5.6%増)、輸送機器(14.1%増)などが増加した(添付資料表2参照)。財政部によると、電子部品のうち、集積回路の輸出額は18.4%増の287億ドルだった。プラスチック・ゴムおよび同製品(12.7%減)や光学器材(27.2%減)は減少した。

輸入では、電子部品(7.8%増)、鉱産品(46.4%増)などが増加した。また、財政部によると、半導体製造装置の輸入額は13.2%増の43億ドルだった。

今後の見通しについて、財政部は、2023年第1四半期(1~3月)の輸出は減少を見込むとの見方を示した。背景として、主要国・地域が物価安定のために金融引き締め政策を導入していることや、ロシアのウクライナ侵攻が膠着(こうちゃく)状態にあること、世界経済の成長予測で減速が見込まれていることを挙げた。また、中国の新型コロナウイルス防疫措置の緩和に伴う感染拡大や、技術覇権を巡る米中対立などの不確実要素も、輸出を抑制する可能性があると指摘した。

(注)財政部統計によると、2022年の原油輸入価格は1バレル当たり46.4%増の103.0ドルだった。

(柏瀬あすか)

(台湾)

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