欧州特許庁、水素関連特許の動向に関する報告書発表、EUと日本が牽引

(EU、日本)

ブリュッセル発

2023年01月13日

欧州特許庁(EPO)は1月10日、国際エネルギー機関(IEA)と共同で、世界の水素関連の特許の動向に関する初めての報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。この報告書は、2011年~2020年の期間の水素の製造、貯蔵・輸送、エンドユーザーによる活用まで、水素に関連した幅広いセグメントの国際パテントファミリー(IPF、注)を分析したものだ。これによると、EUと日本が世界の水素関連の特許出願を牽引する一方で、米国は遅れをとっており、韓国や中国の存在感は徐々に増しているものの、国際レベルでの存在感は限定的としている。

2011年~2020年の水素関連のIPFの出願件数全体に占めるEUの割合は28%でトップとなり、日本が24%、米国が20%と続いた。ただし、EUのうちドイツが11%、フランスが6%、オランダが3%の順で上位を占め、国別では日本がトップとなった。また、特許出願の同期間の平均成長率も、日本が6.2%で、欧州の4.5%を上回った。一方で、米国は同期間のIPFの出願件数がむしろ減少した。韓国と中国については、水素関連のIPFの出願件数全体に占める割合がそれぞれ7%、4%にとどまっているが、年間の平均成長率はそれぞれ12.2%、15.2%と高い伸びがみられる。

水素の製造拡大に向けた投資先として欧州が優位と指摘

水素バリューチェーンのセグメント別の内訳については、水素製造が水素関連のIPFの約半数を占め、残りを貯蔵・輸送とエンドユーザーによる活用が分け合うかたちとなった。また、気候変動に配慮した低排出の革新的な技術に関するIPFの件数が既存技術の改良に関するIPFの2倍程度となっており、水素製造とエンドユーザーによる活用の両セグメントでその傾向は顕著となっている。特に水素製造では、電気分解の技術革新に関する特許出願が大幅に増えており、2020年には気候変動に配慮した革新的な技術に関するIPFの件数が同セグメントの8割近くに達した。

報告書は、欧州や日本などの主要国・地域では、革新的な製造技術の事業化のための誘致合戦が始まっており、電解槽の製造能力の拡大に向けた投資先として、欧州が優位に立っていると指摘。欧州では、特許出願と製造能力への投資がともに活発としている。一方で、日本は、アルカリ型水電解装置と固体高分子型水電解装置の両技術の特許出願で最先端をいっているものの、こうした技術の製造能力に向けた投資は進んでいないとしている。

エンドユーザーによる活用に関しては、さまざまな潜在的な活用先がある中で、自動車分野が技術革新の中心となっており、主に日本がこの分野の特許をリードしている。鉄道や海運などの長距離輸送、航空、発電などの分野でも、脱炭素化に向けて水素の活用が注目されているが、自動車分野ほどは技術革新が進んでいない。ただし、製鋼については、水素の活用に向けた特許出願の件数が近年増加傾向にあるとした。

(注)国際パテント(特許)ファミリーとは、1つの発明を基に、世界の2カ所以上で特許出願している出願のまとまり。

(吉沼啓介)

(EU、日本)

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