11月のGDPは4.0%減、8カ月連続のマイナス

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2023年01月13日

ロシア経済発展省の発表(20221228日)によると、11月の実質GDP成長率(推計値)は前年同月比マイナス4.0%(前月より0.5ポイント増)となった(添付資料表参照)。製造業や小売業の不振により、8カ月連続のマイナス成長を記録した。建設業や農業は堅調に推移している。

11月の鉱工業生産は前年同月比1.8%減(前月より0.8ポイント増)、うち製造業は1.7%減と9カ月連続でマイナスを記録した。他方、製造業の伸び率は前月から0.7ポイント改善した。主な要因は、金属製品および船舶、鉄道車両、航空機を含む「その他の輸送用機器」の減少率が前月と比べ改善したことだ。金属製品は15.9%減(前月より11.2ポイント増)、その他の輸送用機器は16.5%減(24.8ポイント増)となった。「コメルサント」(20221229日)によると、その他の輸送用機器には軍需品が含まれているという。

自動車は、前年同月比52.5%減(前月より7.3ポイント増)となった。自動車調査会社アフトスタトによると、11月の乗用車新車販売台数は48.8%減の51,525台だった。外資系自動車メーカーが相次いで生産・販売を終了し市場から撤退していることから、地場ブランド車の需要が高く、ブランド別で最も販売台数が多かったのは地場乗用車最大手アフトワズの「ラーダ」で、41%を占めた。

建設業は、前年同月比8.7%増(前月より0.9ポイント減)と好調が続いている。農業は、1.6%増(2.6ポイント減)だった。収穫期が過ぎて成長率が鈍化したが、引き続きプラスの成長を維持している。

貨物輸送は、前年同月比5.7%減(前月より1.0ポイント増)と落ち込みが鈍化した。主な要因はパイプライン輸送で、9.6%減(1.4ポイント増)となった。

労働市場は安定しており、11月の失業率は3.7%だった。実質賃金は、10月が前年同月比0.4%増と前月より1.8ポイント増加し、7カ月ぶりにプラスに転じた。10月は、名目賃金の上昇率が物価の上昇ペースを上回った。中銀によると、消費者物価上昇率の低い状態が続いており、年間でみたインフレ率が鈍化している(2022年12月21日記事参照)。10月のインフレ率は前年同月比12.63%で、前月より1.05ポイント低下した。

ロシアの公式GDP統計は、四半期別と年別について連邦国家統計局が、推計値として月次の成長率は経済発展省がそれぞれ発表している。

(小野塚信)

(ロシア)

ビジネス短信 e7cf7fab2f894929