中銀は政策金利を7.5%に据え置き、インフレリスクを懸念

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年12月21日

ロシア中央銀行は12月16日に行われた理事会で、主要政策金利(キーレート)を7.5%に据え置いた(添付資料図参照)。

据え置きの背景として中銀は、現在の物価上昇率は緩やかで、消費者の需要も落ち着いていることを挙げた。しかし、労働力不足や西側諸国の制裁による供給制約、交易条件の悪化(注)、拡張的な財政政策により、インフレ上振れリスクがあると指摘した。

エリビラ・ナビウリナ中銀総裁は12月16日の記者会見で、11月と12月上旬の物価上昇は住宅・公共サービス価格の引き上げによる一時的なものだが、インフレを促進させる要因は増えていると指摘した。国民は消費活動を手控えているが、家計や企業のインフレ期待が高いことや、労働力不足による人件費の増加、調達先や物流の見直しに伴うコスト増が物価上昇につながる可能性があると説明した。

中銀は、2022年のインフレ率は12~13%、2023年は5~7%、2024年には目標の4%に戻り、その後は4%前後で推移すると説明した。次の理事会は2023年2月10日に予定されている。

(注)交易条件=輸出物価指数/輸入物価指数。交易条件の悪化は輸出価格に比して輸入価格の上昇を意味し、国外への支払いが増えるため、通貨安や輸入コストが増加する要因となる。

(小野塚信)

(ロシア)

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