中銀、輸入事前許可制を廃止し、新基準を発表

(パキスタン)

カラチ発

2023年01月04日

パキスタン中央銀行(SBP)は12月27日、輸入に関して銀行が準拠すべき新たな基準を発表し、2022年5月20日に導入した輸入事前許可制度(2022年6月27日7月19日記事参照)を廃止した(EPD Circular Letter No.20 of 2022外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2023年1月2日から発効した。

事前許可制度では、HSコード第84類(原子炉、ボイラーおよび機械類等)と、第85類(電気機器等)、第87類(鉄道用および軌道用以外の車両等)の一部が対象となっていた。特に第87類については、小型から大型までのほとんど全ての自動車の完全現地組み立て部品(CKD)が規制対象となっていたため、制度導入後、日系自動車メーカー3社の生産活動に甚大な影響が出ていた。

同制度廃止後は、外国為替認定銀行(Authorized Dealers)は以下の基準に基づき、自行の判断で企業の輸入を優先処理、あるいは円滑化することができるとした。

1)必須輸入品:例えば、食料(小麦、食用油など)、医薬品(原料、救命用医薬品、手術器具など)、2)エネルギー輸入:石油類(石油、ガス)、石炭、3)輸出志向産業による輸入:輸出志向産業による原料、投入財、スペアパーツの輸入、4)農業投入財の輸入:種子、肥料、殺虫剤など農業投入用として必要な輸入品、5)繰り延べ払いや自己資金による輸入:船積みから365日を超える後払いによる輸入、ならびに輸入者が株式やプロジェクトローン、国外からの輸入用ローンで調達した外貨による輸入などとなっている。

これらの基準に自動車は含まれておらず、自動車のCKD輸入が改善することは見通しにくい状況だ。SBPは通貨ルピーの下落を防ぐため、外国為替認定銀行に対してインターバンク市場でのドル調達を口頭で禁止していると言われており、認定銀行は原則として、自行が保有する外貨の中でのやり繰りを求められている。

トヨタブランドの四輪車を製造販売する合弁会社インダス・モーターは12月19日、輸入抑制策の影響による部品在庫不足を理由に、12月20日から30日まで生産を停止(2022年12月20日記事参照)。また、スズキブランドを製造販売するパック・スズキ・モーターも12月26日、同様の理由で1月2日から6日まで四輪・二輪両方の生産をストップすると発表した(「ドーン」紙12月27日)。

(山口和紀)

(パキスタン)

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