米下院歳入委員会、トランプ氏の2015~2020年の納税報告書を公開

(米国)

米州課

2023年01月04日

米国連邦議会下院の歳入委員会は12月30日、ドナルド・トランプ前大統領の6年分の納税記録を公開した。

米国の歴代大統領は慣例で納税申告書を公開してきたが、トランプ氏は米内国歳入庁(IRS)の監査を受けているとして公表を拒否してきた。歳入委員会は2019年7月に納税申告書の提出を求めて財務省を提訴したが、トランプ氏は同年9月に、歳入委員会によるニューヨーク州の納税申告書へのアクセスを阻止するために提訴した。法廷闘争の結果、米最高裁判所は2022年11月にトランプ氏側の訴えを退け、歳入委員会は11月末に納税申告書の写しを入手した。歳入委員会は12月20日に納税記録の公開について採決を行い、24対16の賛成多数で公開が決まった。

歳入委員会のリチャード・ニール委員長(民主党、マサチューセッツ州)は「当委員会は、IRSが方針に従って(大統領への)義務的監査(プログラム)を迅速に実施していると期待していたが、われわれの調査では、このプログラムが前政権下では休止状態だったことが判明した。これは前政権下でのIRSの大きな失敗だ」と述べた。

今回公開されたのは2015~2020年の納税申告書で、トランプ氏の夫婦合算申告書(16ファイル、2,744ページ)と、トランプ氏が所有する「DJT Holdings」(6ファイル、922ページ)、「DJT Holdings Managing Member」(8ファイル、1,192ページ)、「DTTM Operations」(5ファイル、620ページ)、「DTTM Operations Managing Member」(1ファイル、20ページ)、「LFB Acquisition」(6ファイル、308ページ)、「LFB Acquisition Member」(3ファイル、78ページ)の事業申告書が含まれている。

上下両院の合同租税委員会が公表した報告書によると、トランプ氏は2015~2020年の6年間で計178万ドルの連邦所得税を支払ったが、事業所得や不動産所得の赤字により、6年間のうち4年間で総所得はマイナスとなり、2018年には約100万ドルの所得税を支払ったものの、2016年と2017年の所得税はそれぞれ750ドルで、2020年は0ドルだったことが明らかになった(添付資料表参照)。

今回の納税申告書公表を受けて、トランプ氏はビデオメッセージを投稿し、「これらの納税申告書には比較的少ない情報しか含まれておらず、極めて複雑で、誰もが理解できるような情報ではない。急進的な民主党の行動は米国議会にとって恥ずべきことだ」と述べた。

(中溝丘)

(米国)

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