米国23州で2023年年始から最低賃金引き上げ、引き上げ率の平均値は7.4%、シンクタンク調査

(米国)

ニューヨーク発

2023年01月06日

米国の23州で、2023年1月1日から最低賃金が引き上げられることが米国のシンクタンクの調査で分かった。エコノミック・ポリシー・インスティチュート(EPI)が2022年12月22日に発表した最低賃金の引き上げに関する調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国の23州で2023年1月1日から最低賃金が引き上げられる。これにより、全国で840万人の労働者の賃金が引き上げられ、労働者の賃金の総額は50億ドル以上増加すると推定されている。

最低賃金が引き上げられた23州における引き上げ幅の平均は前年比85セント、引き上げ率の平均は7.4%だ。引き上げ率が最も大きかったのはネブラスカ州で16.7%、最も低かったのはミシガン州の2.3%だった(添付資料表参照)。引き上げ理由として最も多かったのは、前年からの物価の変動を最低賃金に反映するよう要求している各州の最低賃金法だ。13の州がこれを理由としていた。EPIの分析によると、米国では女性や有色人種の労働者が低賃金で働いている傾向があるため、これらの最低賃金引き上げにより女性労働者の6割近くが恩恵を受け、人種別ではヒスパニック労働者、ネイティブアメリカン労働者、黒人労働者の順で恩恵を受ける割合が高いとしている。またEPIは、州政府に加えて、少なくとも27の自治体で、2023年1月1日からの最低賃金引き上げが確認されたとしている。このうち25の自治体が物価変動による自動調整を理由に最低賃金を引き上げたとされており、2023年も高インフレが続けば、最低賃金引き上げに関する全国的な潮流は今後も続く可能性がある。

なお、ニューヨーク州は他州より1日早い2022年12月31日より最低賃金が13.2ドルから14.2ドルに引き上げられているが、ニューヨーク市などの大都市圏は除外されており、ニューヨーク市での最低賃金は引き続き15ドルとなっている。しかし、そのニューヨーク市でも最低賃金を2027年にかけて時給21.25ドルへと引き上げる法案が提出されている(2022年12月7日記事参照)。EPIによれば、これが実現されれば、州全体の労働力の32%に当たる約290万人の労働者が、年間平均で3,307ドルの昇給を受けることになると試算している。

(宮野慶太)

(米国)

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