2022年の乗用車新車登録台数、大幅減だった前年よりさらに10.3%減

(オーストリア)

ウィーン発

2023年01月19日

オーストリア統計局は112日、2022年の乗用車と商用車の新車登録台数を発表した。乗用車は前年比10.3%減の215,050台で、1979年の水準(214,297台)まで減少した。オーストリア自動車輸入業者連盟のスポークスマンのギュンター・ケアレ氏は、自動車市場の不振の主な原因として、新型コロナウイルス禍の後遺症や、ロシアのウクライナ侵攻などによる配送の阻害、高インフレとそれによる経済停滞を挙げた。また「2022年初めは自動車市場の需要は健全だったが、電力や燃料価格の想定外な高騰によって消費者が不安になった」と述べ、政府が2022年秋に二酸化炭素税を導入したことも批判した。二輪車は前年比2.4%減となった。商用車は、2021年に増税前の駆け込み需要で前年比56.2%増となったトラック(2022128日記事参照)が前年比59.7%減と落ち込んだことなどが影響し、登録台数が減少した(添付資料表1参照)。

乗用車の新車登録台数をエンジン種別でみると、燃焼エンジンの販売数の減少により、2022年に初めて代替燃料車のシェアがガソリン車を上回った。ディーセル車は前年比17.4%減の48,115台となり、シェアは前年から1.9ポイント減の22.4%に低下した。ガソリン車も78,567台と14.1%減、シェアは1.6ポイント減の36.5%となった。一方、代替燃料車は前年比1.9%減の88,368台lだったが、シェアは3.6ポイント増の41.1%に拡大した。このうち、ハイブリッド車は4.4%減の54,126台、シェアは1.5ポイント増の25.1%でディーセル車を上回った。電気自動車(EV)は2.4%増の34,165台で、シェアは2.0ポイント増の15.9%となった(添付資料表2参照)。

乗用車の新車登録台数をメーカー・ブランド別でみると、フォルクスワーゲン(VW)グループは、VW(シェア14.9%)、シュコダ(8.7%)、アウディ(5.7%)で、シェア124位を占めているが、台数は前年比9.8%減の8万台になった(シェアは前年比0.2ポイント増の37.2%)。VWのほとんどのブランドの登録台数が減少したが、セアトのスポーツカーブランド「クプラ」のみが前年比2.7倍の5,298台と急増した。VWグループ以外の上位20位のうち、3BMW4.4%増の16,316台になった一方、5位のメルセデスは8.3%減、6位の現代は7.1%減、7位のフォードが9.2%減など、登録台数が減少したブランドが多かった。一方、EVのテスラは前年比15.1%増の5,410台で15位に上昇した(添付資料表3参照)。

日本メーカーの新車登録台数は、合計で前年比6.4%減の23,573台となったが、シェアは0.4ポイント増の10.9%に伸びた。トヨタ(前年比45.0%増の9,124台)とレクサス(35.2%増の223台)が大幅に伸びた一方、マツダ(20.1%減、5,732台)、日産(19.7%減、1,936台)、三菱(8.3%減、1,860台)などは減少した(添付資料表4参照)。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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