ドバイ首長国が30%の酒税を停止

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2023年01月06日

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国は2023年1月1日から、これまで課していたアルコール飲料に対する30%の酒税を1年間停止した。併せて、個人消費者が酒類購入の際に必要なライセンスの取得料も無料となった(注)。ドバイ首長国政府からの発表は公表されていないが、ドバイで酒類を扱う大手のMMIとアフリカン+イースタンの2社が1月1日にそれぞれ発表し、地元主要紙が報じている。

アルコール飲料に対する30%の課税はドバイ首長国に限って徴収されていたもので、他首長国と酒類の価格に乖離が生じていた。ドバイの居住者や海外からの来訪者にとっては、かねてからの不満要素となっていた。

課税停止措置は1年間の「トライアル」とされているが、これによりドバイ経済の柱である観光業や外食産業のさらなる活性化が期待される。また、2020年11月には飲酒に対する罰則が廃止されるなどしており(2020年12月16日付地域・分析レポート参照)、UAEが近年取り組む外国人に対する「寛容政策」の一環ともみられる。外国人にとっても住みやすく訪れやすい環境をつくり、近隣諸国との差別化を図り、経済活性化につなげるねらいだ。

前述の大手2社では、既に30%が価格から割り引かれて販売が開始されている。一方で、レストランやバーなどの飲食店では、価格への反映には時間がかかる見込みだ。ジェトロの聞き取り(1月4日)に対し、ドバイ市内のレストランのマネジャーは「すでに割引前の価格で仕入れた在庫があるのに加え、価格改定には検討の時間が必要だ。2~3カ月はかかるのではないか」と話す。また、「インフレやオペレーションコストの増加を加味した価格改定が必要になるため、30%の税金分がそのまま転嫁されて割引されることにはならないと思う」と続けた。

(注)UAEにおける飲酒可能年齢は21歳以上。ドバイでのライセンス取得には居住許可証(エミレーツID)またはパスポートが必要。

(山村千晴)

(アラブ首長国連邦)

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