2022年の輸出入額は過去最高額を更新、貿易黒字額は半減

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年01月27日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)が1月19日に発表した貿易統計によると、アルゼンチンの2022年通年の輸出は前年比13.5%増の884億4,600万ドル、輸入は29.0%増の815億2,300万ドルとなった(添付資料図参照)。いずれも過去最高額を更新した。貿易収支は69億2,300万ドルの黒字で、前年の147億5,100万ドルから大幅に縮小した。

貿易指数をみると、輸出価格が前年比16.2%増、輸出数量は2.3%減となっており、輸出額の増加は輸出価格の上昇によるものと説明できる。輸入も、輸入価格が16.3%増、輸入数量が11.0%増と、輸入価格の上場率が輸入数量の伸び率を上回り、輸入額の伸びを押し上げた。

輸出を品目別にみると、一次産品の魚介類(前年比10.6%減)を除き、全ての品目が前年比でプラスとなった(添付資料表1参照)。一次産品と農畜産物加工品の輸出額は、前年比でそれぞれ9.4%増、7.1%増と過去最高を記録した。特に大豆関連品の輸出額は、政府が導入した優遇為替レートを適用する制度(2022年12月1日記事参照)によって、241億7,400万ドルと過去最高を記録した。燃料・エネルギーは、58.9%増で同じく過去最高だった。工業製品輸出は、2013年以来の最高額に達した。

輸入についても、政府が輸入取引の監視を強化し、輸入許可の取得がさらに困難となった(2022年10月19日記事参照)にもかかわらず、産業用基礎食糧・飲料を除き、全ての項目がプラスだった。特に燃料・潤滑油関連品の輸入は、ロシアによるウクライナ侵攻後の世界的な資源価格上昇の影響を受け、前年比で2.2倍に増加した。

仕向け地別に輸出額をみると、最大の貿易相手国であるブラジル向けは前年比7.6%増、次いで米国向けが33.5%増、中国(香港・マカオを含む)向けが27.4%の大幅増となった(添付資料表2参照)。ブラジル、米国、中国からの輸入額もそれぞれ28.8%増、74.4%増、29.4%増と大幅に増加した。収支をみると、3カ国いずれに対しても貿易赤字が続いている。対日貿易は、輸出額が10.1 %増、輸入額が5.4%増で、同じく貿易赤字になっている。

2023年の見通しについて、1月20日付現地紙「パヒナ12」(電子版)のインタビューに答えたセシリア・トデスカ副外相は「干害に見舞われている農業部門での生産と輸出の減少が、輸入取引の支払いに必要な外貨収入を困難にする」と述べた。しかし、鉱業部門での輸出拡大やエネルギー部門での輸入の大幅減少に期待も示した。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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