タイのゴム・木材業界、EUの森林破壊関連品規制への対応が必要に
(タイ、EU)
バンコク発
2023年01月06日
タイ商務省貿易交渉局(DTN)は12月26日、EUの森林破壊関連品の販売を規制する規則(2022年12月14日記事参照)に対応すべく、タイの輸出業者に準備を呼びかけた。森林破壊関連品に対する規制は世界的にも例がないため、タイ企業への影響に懸念が広まっている。
DTNによると、規制は2023年3月にも発効する見込みで、EUは発効後18カ月間で森林破壊関連品の生産について、貿易相手国を高リスク国、中リスク国、低リスク国の3グループに評価・分類する計画だ。もしタイが高リスク国に分類されると、EUのタイ製品輸入業者は厳格な検査を受ける可能性がある。
今回のEUの規制は、牛肉、木材、印刷紙、パーム油、大豆、コーヒー、ココア、ゴム、これらの関連製品が対象となっている。タイからEUへの主要な輸出品目も含まれており、影響が大きいと見込まれる。商務省の貿易統計によると、2021年のEU27カ国向け輸出総額は251億4,550万ドルで、タイの輸出全体の9.2%を占める。EUへの輸出のうち、ゴム製品は15億8,480万ドルで、EU向け輸出額の6.3%、ゴムは6億5,280万ドルで同2.6%を占める。紙製品は4,150万ドル、木材・木製品は3,330万ドル、木製家具は2,520万ドル程度、タイからEUに輸出されている。
EUは今回の規制で輸入業者に対し、輸入製品が森林破壊された土地で生産されていないことを示す報告書や証憑(しょうひょう)書類の提出を求める。これまでもタイの木材業界と政府関連機関は、製品に使用している木材が合法的に調達されたものであることを証明すべく、2013年からEUと森林法施行・ガバナンス・貿易行動計画の自主的2国間合意(FLEGT-VPA)に関する交渉を継続してきた。また、2013年3月から導入された、FLEGTを補完するEU木材規制(EUTR)にも対応してきた。具体的には、木材・木製品のサプライチェーンの生産工程が規制に従っているかどうかをモニタリングし、土地利用で森林破壊を引き起こしていないことを証明する文書の確立を進めてきた。
ジェトロのタイ日系企業進出動向調査(2021年)(620KB)によると、タイには日系のゴム製品製造業が73社、パルプ・紙・紙加工品製造業が40社、家具・装飾品製造業が11社、木材・木製品製造業が7社、それぞれ進出している。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、EU)
ビジネス短信 c1ab4915ab958188