中国EVバッテリー大手CATL、ウユニ塩湖などでリチウム生産に参入

(ボリビア、中国)

米州課

2023年01月27日

ボリビア炭化水素エネルギー(MHE)省は1月20日、中国のCATL(寧徳時代新能源科技)率いるCBCコンソーシアムが、2021年から開始された国際公募入札を落札し、ボリビアリチウム公社(YLB)と、ポトシ県とオルーロ県に所在する塩湖2カ所でDLE(直接リチウム抽出)技術を使用した複数のプラントを建設する協定書に署名したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

CATLは、中国福建省寧徳市に本拠を置く世界最大のEVバッテリーメーカー。CBCコンソ―シムにはCATL子会社で、使用済みバッテリーのリサイクルとバッテリー原材料の生産を行うBRUNP(広東邦普循環科技)、コバルトとニオブで世界2位の生産者かつ中国最大のモリブデン生産者であるCMOC(洛陽欒川鉬業集団)が加わっている。DLE技術は、リチウムの抽出量を向上する新技術だ。従来の方法では、採掘資源に含まれるリチウムの約40~50%しか抽出できないが、YLBは80%のリチウム抽出を最低要件としており、CBCによるDLE技術では90%抽出可能としている。

YLBのウンベルト・ラモス総裁は、ポトシ県ウユニ塩湖とオルーロ県コイパサ塩湖の2カ所のプラントで純度99.5%の炭酸リチウムを、それぞれ年最大2万5,000トン生産する予定を明らかにしている。CBCは、第1段階で10億8,300万ドル以上を投入して、プラント立ち上げとこれに必要な道路や電力供給などのインフラ強化、炭酸リチウムの開発と製品化を行い、同生産チェーンの所有権を保持する。一方、ボリビア政府は、ボリビア人の利益のために天然資源を利用する主権尊重の原則を最優先とする産業政策を採用しており、国営企業であるYLBはリチウム抽出(プラント建設・運用・保守)、炭酸リチウムの工業化、製品マーケティングに至るまで事業に関与する。

米国地質研究所(USGS)「U.S. Geological Survey, Mineral Commodity Summaries 2022年版」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ボリビアのリチウム埋蔵量は2,100万トンと全世界の23.4%を占め、世界最大の埋蔵量を誇る。ボリビア、チリ、アルゼンチンが国境を接するアンデス高原地域一帯は「リチウム トライアングル」と呼ばれ、世界のリチウム埋蔵量の55%を占める。しかし、リチウム生産は、相対的に投資環境に恵まれ商業生産が容易なオーストラリアやチリがリードしている。YLBは2023年1月10日、2022年炭酸リチウム生産量が600トンに達したと発表している。

2025年第1四半期のリチウム電池輸出開始が目標

ルイス・アルセ大統領は、2025年第1四半期に国産原材料を使用したリチウム電池の輸出を開始する目標を表明している。大統領は、他の5社・コンソーシアム「米国のライラック・ソリューションズ、ロシアのウラニアム・ワン・グループ、中国のCITIC GUOANグループ(中信国安集団)とCRIG(中国鉄道国際集団)、中国のFUSION ENERTECH、中国のTBEAグループ」との交渉も継続中だと明らかにしている。

(大久保敦)

(ボリビア、中国)

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