米調査会社、2023年の「世界10大リスク」の1位、2位にロシアと中国

(米国、日本、ロシア、中国)

ニューヨーク発

2023年01月05日

米国の調査会社ユーラシア・グループは1月3日、2023年の「世界の10大リスク」を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。1位に「ならず者国家ロシア」、2位に「『絶対的権力者』習近平」を挙げており、バイデン米政権が「国家安全保障戦略」で戦略的競争相手として名指ししたロシアと中国に関連する結果となっている(2022年10月13日記事参照)。

ユーラシア・グループは、著名な国際政治学者のイアン・ブレマー氏が社長を務め、1998年以来、年初に当該年の世界政治や経済に深刻な影響を及ぼす地政学リスクを予測している。ロシアについては、ウクライナに対する戦争が思うような結果に結びついておらず、その屈辱から世界で最も危険な「ならず者国家」へと変貌し、世界全体にとって深刻な安全保障上の脅威になると予測している。中国の習近平国家主席については、2022年10月の共産党大会でその実権を確立したとしつつ、同氏を制約するチェック・アンド・バランスは期待できず、重大な政策的失敗を犯す可能性も増大したと分析している。その例として、2022年の「10大リスク」で1位に挙げた「中国のゼロ・コロナ政策」が現実になった点を挙げている(2022年1月7日記事参照)。

また、ユーラシア・グループは「10大リスク」が日本に与える影響に関する分析PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)でも、この「『絶対的権力者』習近平」は重大な影響を持つとしている。米国を除けば、中国ほど日本の経済、政治、安全保障に大きな影響力を持つ国はないとした上で、その中国で政策的な不確実性が増大していることは、日本政府が志向する、中国との「建設的かつ安定的」な関係とは逆のことが起こる可能性があると指摘している。

このほか、米国に特化したリスクとしては8位に「分断国家アメリカ」を挙げている。2022年11月の中間選挙で、2020年の大統領選挙に不正があったと唱えていた共和党候補者の多くが落選したことを評価する一方で、米国は世界の先進工業民主主義国の中で最も政治的に偏向し、機能不全に陥っている国の1つと指摘している。その結果、政治権力が州に委ねられ、さらに保守的な州とリベラルな州それぞれで極端な政策が取られており、それが企業にとっての予見可能性を損なうとしている。

「10大リスク」のランキングリストは、添付資料表を参照。

(磯部真一)

(米国、日本、ロシア、中国)

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