政府がICTの利用とアクセスに関する調査結果を発表

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年01月20日

バングラデシュ統計局(BBS)は、情報通信技術(ICT)とその関連設備が世帯や個人レベル(5歳以上の男女)でどの程度普及しているかを評価することを目的に、「個人や世帯のICT利用・アクセスに関する調査」を初めて単独かつ包括的に実施し、18日に調査結果の速報版を発表した。

世帯レベルで見ると、電化率(オフグリッドを含む)は98.9%、テレビ保有率は62.0%、携帯電話保有率は97.4%、スマートフォン保有率は52.2%、コンピュータ保有率は8.7%、インターネット環境のある割合は38.1%だった。インターネット接続のある世帯のうち、59.8%は携帯電話経由のモバイルブロードバンドネットワークを使用しており、固定回線を持つ割合は40.6%にとどまった。一部の項目については、都市部と農村部の差が顕著だった。例えば、スマートフォン保有率は都市部で70.2%なのに対し、農村部では46.2%、インターネット環境のある割合は都市部で63.4%、農村部では29.7%だった。

個人レベルで見ると、私用の携帯電話(注)の所有率は61.8%、私用のスマートフォン(注)の所有率は27.3%、直近3カ月以内に携帯電話を使用した人の割合は89.9%、直近3カ月以内にコンピュータを使用した人は7.4%、直近3カ月以内にインターネットを使用した人は38.9%だった。男女別では、携帯電話の使用について男女差は見られない一方で、私用の携帯電話(注)の所有率(男性が72.3%、女性が51.4%)や、直近3カ月以内にインターネットを使用した人の割合(男性が45.3%、女性が32.7%)などの項目では差が見られた。年齢層別にみると、直近3カ月以内にインターネットを使用した人の割合では、1524歳が64.2%と他の年齢層に比べて顕著に高い結果を示した。

この調査では、インターネットを利用した商品購入についても対象となっている。調査によると、96.3%が現金着払いで決済していることや、品目別では、食料品や嗜好(しこう)品を筆頭に、衣料品、本・雑誌・新聞、化粧品、旅行関連商品などがインターネットを通じて頻繁に購入されていることが明らかになった。

バングラデシュ政府が2009年に発表した政策「ビジョン2021」で掲げたスローガン「デジタル・バングラデシュ」では、全国民へICT普及を通して、貧困を削減し、汚職を撲滅することをうたっている。今回の調査により、携帯電話やインターネットが着実に普及している実態が明らかになった一方で、インターネット環境のない世帯のうち63.1%がインターネットの必要性を感じていない、また、約5割はインターネットサービスが高額と回答するなど、課題も浮き彫りになった。

(注)私的利用が許可されている勤務先から支給された端末を含む。

(薄木裕也)

(バングラデシュ)

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