中央農村工作会議が開催、農業強国の建設加速

(中国)

北京発

2023年01月06日

中国の2023年の農業政策の方針を決定する中央農村工作会議が122324日に北京市で開催され、習近平総書記(国家主席)が重要講話を行った。会議では、農村の振興を重点に「三農」(農業・農村・農民)問題に取り組み、農業・農村の現代化を大いに推進し、農業強国の建設を加速することを強調した。

講話では、農業強国は社会主義現代化強国の基盤であり、農業の発展がなければ、質の高い発展を実現することや、国家の安全を強固なものにすることはできないとの認識を示し、農業強国の建設を加速する規画を策定すると表明した。

また、農業強国の建設では、食糧と重要な農産物の安定的かつ安全な供給を確保することが最重要とし、食糧生産力の向上への行動に関する実施プランの策定を急ぐと強調した。さらに、18億ムーという耕地保護のレッドライン(最低基準)をしっかりと維持することや、永久基本農地を段階的に全て高水準な農地にすること、種子産業の振興に取り組んで成果を上げること、食糧生産農家の収益保証や主要な食糧生産地の利益補償に係るメカニズムを整備すること、食糧安全保障のために多元的な食品供給体系を構築することなどに言及した。

このほか、会議では、農業強国の建設に向けた重要な取り組みとして、産業・人材・文化・生態・組織という5つの面から農村の振興を全面的に推進することも打ち出した。そのうち、産業の振興が最も重要だとして、産業補助政策を着実に実施し、「特産品」の開発に注力し、農業・農村の特性のある資源をベースに、多目的農業の開発、農村の多元的価値の発掘を通じて利益を生み出すことなどを強調した。

国家統計局によると、2022年の中国の食糧生産量は8年連続で65,000万トン以上となった。また、食糧生産量を人口で割った1人当たりの食糧は483キログラムで、国際的に公認されている食糧安全保障ラインの400キログラムを上回ったとしている。

中国人民大学国家食糧安全戦略研究院の程国強院長は中国の食糧安全保障について、総じて良好なものの、当面および今後の一定期間、依然としてリスクとチャレンジに直面していると指摘した上で、食糧の総合生産力を継続的に向上させ、食糧の安全保障に少しも気を緩めることなく取り組まなければならないとコメントした(「経済参考報」1226日)。

(注)1ムー=666.7平方メートル。

(張敏)

(中国)

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