フランス政府、ディープテック・スタートアップ支援を強化

(フランス)

パリ発

2023年01月17日

フランス政府は1月9日、大学など研究機関発のディープテック・スタートアップ企業の育成に向けて総額5億ユーロの追加支援策を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2030年までにユニコーン(注)の数を100社まで増やし、ディープテック分野における年間の起業件数を2021年の実績から500社へ倍増させる目標の達成につなげる。総額540億ユーロをかけた国家投資計画「フランス2030外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(2021年10月14日記事参照)の枠内で実施される。

政府はまず、2021年にパイロット事業として5つの大学(ノルマンディ大学、クレルモン・オーベルニュ大学、ソルボンヌ大学、ストラスブール大学、モンペリエ大学)に設置したPUIと呼ばれる大学イノベーションセンターを、さらに1億6,000万ユーロを充てて20カ所増やし、研究者と産業界の間の橋渡しを強化する。

ディープテック分野における起業支援については、公的投資銀行のBPIフランスを通じて2019年から実施している同分野の特別振興策「ディープテック・プラン」に6,500万ユーロを追加で振り分ける。これによりイノベーションコンテストに係る予算の増額など既存の支援措置を拡充しつつ、公的研究機関を対象にした新たな起業奨励金制度(プロジェクト当たり最大12万ユーロを支給)を導入するなど支援の強化を図る。

政府はまた、戦略分野における技術開発支援に向けて総額2億7,500万ユーロの資金援助を実施するとして、公募により17件の支援対象プロジェクトを選考。デジタル医療、感染症治療、人工知能、バッテリー、産業の脱炭素化、5G(第5世代移動通信システム)、リサイクルとリサイクル素材の再利用などに関わる研究プロジェクトのリストを公表した。

なお、政府発表資料PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば、ディープテック分野における年間起業件数は2019年から2021年にかけて、165社から250社に増加した。現在、ディープテック・スタートアップ企業の数は2,500社(国内スタートアップ企業全体の8%)で、2022年だけで4万7,000人の雇用を創出した。政府は、2022年1月にもディープテック支援措置の強化を打ち出していた(2022年1月27日記事参照)。

(注)BPIフランスの定義外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、評価額10億ドル以上の非上場企業。

(山崎あき)

(フランス)

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