2022年消費者物価上昇率は94.8%、過去32年間で最高値

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年01月25日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は112日、202212月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比5.1%と発表した。これにより、2022年通年では94.8%の上昇となった。2021年に記録した50.9%を大幅に上回り、過去32年間で最高値となった(添付資料図参照)。

前月比の物価の伸びを12月単月でみると、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは5.1%上昇したが、11月単月と比較すると1.1ポイント低下した。季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスと、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は、それぞれ4.6%と5.3%上昇し、11月単月(それぞれ4.1%、4.8%)から加速した。費目別で最も大きく上昇したのは、外食・ホテル(7.2%)と酒類・たばこ(7.1%)だった(添付資料表1参照)。

ジェトロが116日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査によると、政府の価格凍結制度「プレシオス・フストス」(20221128日記事参照)の対象となっていない商品の値上げが加速していた(添付資料表2参照)。

INDECが発表した2022112月(累計)の消費者指数(CPI)物価上昇率を費目別にみると、衣類・靴類と外食・ホテルが100%を超え、それぞれ120.8%と108.8%上昇した。大ブエノスアイレス首都圏(GBA)では、食品・酒類を除く飲料は97.5%上昇したが、中でも野菜類(174.4%)、果物(129.1%)、食油・バター(112.1%)、乳製品・卵(110.4%)、パン・シリアル類(108.8%)、砂糖・菓子類(104.8%)が大きく上昇した。酒類も124.9%上昇した。

中銀調査エコノミスト予測、2023年インフレ率は98.4%、改善への課題山積

民間エコノミストらの主要経済指標予測値をまとめている中央銀行の調査(REM)によると、2023年のインフレ率の予測値は98.4%と、2022年同様、3桁近くに達するとの見方だ。11日付の現地紙「アンビト(電子版)」によると、複数のエコノミストが、2023年は国内で物価を押し上げる要因や課題が多いと分析している。例えば、公共サービス料金の見直し、燃料や公共交通機関運賃の値上げ、牛肉価格の値上げの可能性、対ドル為替レート下落が輸入物価を押上げる可能性、ラニーニャ現象による干害が主要作物の収穫減と生産コストの上昇につながって食品価格を押し上げるなどだ。さらに、10月に大統領選挙が行われることから、連邦政府が何らかの補助を打ち出すとみられ、有権者の収入改善が需給を逼迫させ、物価上昇につながるとも述べている。

写真 ブエノスアイレス市内のスーパーで「プレシオス・フストス」の対象品目を選ぶ女性(ジェトロ撮影)

ブエノスアイレス市内のスーパーで「プレシオス・フストス」の対象品目を選ぶ女性(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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