ドイツのRWEとノルウェーのエクイノール、水素関連の提携を発表

(ドイツ、ノルウェー)

デュッセルドルフ発

2023年01月13日

ドイツのエネルギー大手RWE外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとノルウェーのエネルギー大手エクイノール外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは1月5日、エネルギー安全保障と脱炭素化に関する戦略的提携をそれぞれ発表した。両社の合意には、欧州のエネルギー供給や、ドイツとEUの水素経済の拡大に貢献する大規模なプロジェクトが含まれている。また、脱炭素化に向かう欧州の電力供給の長期的な安全保障強化にもつながるものとなる。

エクイノールは、ノルウェーにおいて欧州向けの水素プロジェクトへ投資する。2030年までに2ギガワット(GW)、2038年までに最大10GWのブルー水素(注)の製造を予定する。同プロジェクトでのブルー水素は天然ガスから製造し、排出される二酸化炭素(CO2)は回収・貯留(CCS)される。CO2の95%以上はノルウェーの海底に貯留される。また、この水素はパイプライン経由でノルウェーからドイツに輸送され、RWEの水素対応可能なガス火力発電所(CCGT)で使用される。両社は同発電所を共同所有し、運転開始時に水素の50%の混焼、2030年代半ばまでに水素のみでの稼働を目指している。なお、同パイプラインやドイツからノルウェーへのCO2輸送は現在、共同でフィージビリティスタディが行われており、結果は2023年の春に発表される予定。

さらに、両社はグリーン水素の製造においても協力する。ノルウェーやドイツや近隣の国において、洋上風力発電によるグリーン水素の製造の可能性を共同で探る予定。

なお、ドイツのロベルト・ハーベック経済・気候保護相は1月4~6日、ノルウェーを訪問した。訪問では、炭素中立的なエネルギー供給の構築、特に水素の製造と供給やエネルギー集約型産業の脱炭素化が中心議題となった。両国は5日、水素に関する共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます共同宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

ノルウェーはドイツの天然ガス輸入先国としても重要に

ドイツは、ロシア産天然ガス依存からの脱却が課題となっている。連邦ネットワーク庁は1月6日、2022年の天然ガスに関する統計を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。2022年の天然ガス輸入量は前年比12.3%減の1,449テラワット時(TWh)だった。輸入先の国別割合では、ノルウェーが33%と最大になった。これまで最大の輸入先国だったロシアは、ウクライナ侵攻以降に供給量が大きく減少、9月以降は完全に供給停止していることもあり、2021年の52%から22%に大幅に低下した。

(注)水素には製造過程により以下の分類がある。

  • グリーン水素:再生可能エネルギーを利用して製造される水素。
  • ブルー水素:化石燃料を原料とする。ただし、製造過程で発生するCO2をCCSまたは回収・有効利用・貯留(CCUS)を行い、有効利用または地中に貯留する。
  • グレー水素:化石燃料を原料とする。製造過程で発生するCO2は大気中に放出される。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ、ノルウェー)

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