英BP、加州で再生可能天然ガスを販売へ、米ジーボが乳牛の排泄物から生産

(米国、英国)

ヒューストン発

2022年06月16日

英国の石油ガス大手BP(本社:ロンドン)は6月14日、米国ジーボ(本社:コロラド州エングルウッド)がアイオワ州で生産する再生可能天然ガス(RNG)を、カリフォルニア州で販売すると発表した。

BPは、RNGを天然ガスパイプラインに注入して、カリフォルニア州へ持ち込む。販売は米国およびカナダの現地法人が行うとしている。

ジーボは、アイオワ州の3つの牧場で飼育される2万頭以上の乳牛のふん尿からRNGを生産しており、最大で年間35万5,000MMBtu(100万英熱量単位、約104ギガワット時)の生産を見込んでいる。

同社は、連邦政府の再生可能燃料基準プログラム(RFS)およびカリフォルニア州の低炭素燃料基準(LCFS)に基づくクレジットの価値など、さまざまな前提条件に応じて、2023年から年間1,600万~2,200万ドルのEBITDA(注)が発生すると見込んでいる。

同社のクリス・ライアン社長兼最高執行責任者(CEO)は「この再生可能エネルギーの供給が確実なものになれば、循環型経済モデル全体が成長し、繁栄することができる」とし、酪農家や他の飼料メーカーに付加価値の高い飼料を供給し、回収したふん尿からRNGを生産することで、輸送用燃料やさらなる飼料、そして将来的にはジェット燃料の生産も可能になると述べている。

米国での再生可能天然ガス拡大に向けた取り組みとしては、北米で廃棄物の収集などを手掛ける米ウェイスト・マネジメントが4月28日、RNGのインフラを拡充する計画を発表した(2022年5月6日記事参照)。また、RNG生産大手のアーキア・エナジーと米国環境サービス業大手のリパブリック・サービシズは5月5日、全米で39のRNGプロジェクトを開発する合弁事業を発表した(2022年5月11日記事参照)。米国石油大手シェブロンの子会社シェブロンU.S.A.は6月8日、米国エンジンメーカーのカミンズと米国小売り大手ウォルマートと、RNGエンジンの実証に取り組むと発表した(2022年6月9日記事参照)。

(注)Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortizationの略で、税引き前利益に支払い利息、減価償却費を加えて算出される利益を指す。

(沖本憲司)

(米国、英国)

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