全人代、外交関係の原則定めた「対外関係法」の草案公開

(中国)

北京発

2023年01月10日

中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は「対外関係法」の草案について意見募集を開始した。同法は中国政府が各国との外交や経済・文化面などの交流・協力などに当たって守るべき原則などを定めたもの。募集期間は12月30日から1月28日。

草案では、政府の外交の基本方針として、自主独立の平和外交により、主権の尊重と領土の完全性、相互不可侵、内政への相互不干渉、平等互恵、平和共存の5つの原則を堅持するとした。また、国連憲章の趣旨と原則を順守するとした(第4条)。

その上で、中国共産党の統一的リーダーシップを堅持する(第5条)とともに、党中央の外事工作組織が対外業務の制定や決定に責任を負うとした(第6条)。

政府機関のほか、政党や各団体、企業や個人なども対外交流では国家の安全や名誉、利益を守る責任と義務があるとした(第7条)ほか、いかなる組織・個人も同法や関連法規に違反し、対外交流・協力で国の利益を害する活動をした場合、法律的責任を負うと定めている(第9条)。

対外関係の発展は中国の特色ある社会主義制度の堅持、国家の主権と統一、領土の完全性の維持、国家の経済と社会の発展を目的とする(第17条)。また、人権を尊重・保障し(第22条)、グローバルな気候変動対策(第25条)も推進するとしている。

経済に関係するものでは、対外貿易の発展、外資系企業の投資保護促進などを定め、「一帯一路」建設のほか、多国間貿易体制の維持を盛り込んでいる(第26条)。

その他、国際法と国際関係の基本原則に違反し、中国の主権、安全保障、発展の利益を害する行為には必要な反対措置や制限を行うとし、政府はそのために必要な法律、行政法規などを制定するとしている(第33条)。

外交に関しては、駐日大使も務めた王毅・前外交部長が2022年10月に中国共産党の中央政治局委員に就任(2022年10月25日記事参照)、1月1日には外交トップである中央外事工作委員会弁公室主任に就任したことが明らかになっている(注)。

(注)中国外交部のウェブサイトに同肩書で執筆した文書が発表された。

(河野円洋)

(中国)

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