中国の人口が61年ぶりに減少、出生数は初の1,000万人割れ

(中国)

北京発

2023年01月18日

中国の国家統計局は1月17日、2022年末時点の人口(注1)は14億1,175万人で、前年から85万人減少したと発表した。人口減少は1961年以来、61年ぶりとなる。

出生数は956万人と、前年から107万人減少した。1949年の建国以来で初めて1,000万人を下回り、最低を更新した。中国政府は2016年にすべての夫婦に対して第2子、2021年に第3子まで持つことを認めたが(2022年6月29日付地域・分析レポート参照)、2017年以降、出生数は減少を続けている(添付資料図参照)。

一方、死亡数は1,041万人と前年から27万人増加した。死亡数は2021年にも前年比16万人増と10年ぶりに10万人を超える増加を記録しており、2年連続で高い伸びとなった。

65歳以上の人口は2億978万人で、高齢化率(注2)は14.9%となった。国連統計に基づく推定よりも速いペースで高齢化が進んでいる(2022年9月27日付地域・分析レポート参照)。なお、15~65歳の生産年齢人口は2013年の10億1,041万人をピークに減少が続いている。

山東社会科学院人口・社会発展研究院の崔樹義院長は出生数の低下原因について、妊娠適齢期女性の減少や初婚・初産年齢の上昇のほか、新型コロナウイルス感染拡大の影響や、子育てのコストが高すぎることを挙げている(「21世紀経済報道」1月17日)。

首都経済貿易大学中国新就業形態研究中心の張成剛主任は、今後30年、中国は急速に高齢化が進み、労働力の減少、貯蓄率の低下などが経済成長を引き下げるとともに、消費構造の変化により不動産業などの長期的な成長力が弱まるだろうとしている(「第一財経」1月17日)。

南開大学経済学院の原新教授は、人口減少の初期段階では依然として人口規模が巨大であること、平均寿命の向上・乳児死亡率の低下や高等教育の普及などによる人的資本の蓄積、国内の人口移動の活発化などにより、人口構造が変化する中でも経済発展に有利な条件を形成することができるとした(「環球時報」1月17日)。

(注1)外国人は含まない。人口データの1981年以前は戸籍統計、1982年、1990年、2000年、2010年、2020年は人口センサス、その他の年はサンプル調査による。サンプル調査によるデータは、その後の人口センサスに基づいて修正されている場合がある。サンプル調査は、毎年11月1日午前0時時点のデータをもとに年間の数値を推定している。

(注2)人口のうち65歳以上が占める比率。

(河野円洋)

(中国)

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