在中ドイツ企業、中国での売り上げ・利益減でも、引き続き中国に関与

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2023年01月05日

中国に進出したドイツ企業で構成する在中国ドイツ商工会議所(中国ドイツ商会)は1215日、毎年実施している在中国ドイツ企業ビジネス景況感アンケートの結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

2022年の売上高見込み(回答企業数570社)では、前年比で「20%超減少」が11%、「520%減少」が20%で、2021年の調査結果(それぞれ3%、11%)を大きく上回った。2022年の利益見込みは(同570社)はさらに悲観的で、前年比で「20%超減少」が14%、「520%減少」が27%となった(2021年はそれぞれ5%、17%)。在中国ドイツ商工会議所は主因として新型コロナウイルス対策の「ゼロコロナ政策」を挙げた。

一方、2023年の見通しは上述の2022年の見込みに比較すると、明らかに楽観的だ。2023年の売上高見通し(回答企業数563社)は、前年比で「20%超増加」が8%、「520%増加」が42%だった(2021年はそれぞれ12%、48%)。2023年の利益見通し(同563社)は「20%超増加」が6%、「520%増加」が31%となった(2021年はそれぞれ8%、33%)。

向こう2年間の中国への追加投資の予定については(回答企業574社)、「かなり増加」または「いくらか増加」と回答した企業は51%で、前年調査(71%)から20ポイントも低下した。また、投資先国としての中国の魅力を他地域・国との比較で聞いたところ(回答企業492社)、「減少した」が58%で、「増加した」の5%を大きく上回った。

他方、自社産業の中国市場における向こう5年の見通しを聞いたところ(回答企業数586社)、「増加」が77%を占め、「縮小」の23%を大きく上回った。また、向こう2年以内に中国から完全撤退の予定があるかとの問いに対しては(回答企業数573社)、89%が「計画なし」と回答した。クラース・ノイマン在中国ドイツ商工会議所会頭は「さまざまな課題がありつつも、中国は多くのドイツ企業にとって、市場の規模や成長から魅力的」とし、「大多数の企業は中国市場に関与し続けるだろう」と結論付けた。

なお、地政学上のリスクなどを受けた動きについて、在中国ドイツ商工会議所は、在中国ドイツ企業が(1)中国向け研究開発、調達、製造、販売などの現地化、(2)中国以外のアジア太平洋地域などでの調達・販売などの多様化を同時並行で進めることが明らかになったとした。

今回のアンケートは2022823日から921日に、在中国ドイツ商工会議所会員企業に実施、593社から回答を得た。回答企業のうち68%が現地拠点の従業員250人未満。66%が中国に生産拠点を有する。回答企業のうち、自社製品の販売が「中国向けと中国以外向けの両方」とした企業は53%で、「中国国内向けのみ」の47%を上回った。生産では67%、調達では82%が「中国向けと中国以外向けの両方」を対象としており、在中国ドイツ企業が中国に限定しないグローバルサプライチェーンにも深く組み込まれていることを示唆している。

(高塚一)

(ドイツ、中国)

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