興和がアダニとグリーンアンモニア販売などで覚書締結

(インド、日本)

アーメダバード発

2023年01月06日

興和は1226日、インドの新興財閥アダニグループの中核企業のアダニ・エンタープライジズ(AEL)とアダニ・パワー(APL)、アダニ・ポート&SEZAPSEZ)、アダニ・グリーン・エナジー(AGEL)およびその関連会社と、新たにカーボンニュートラル関連事業を推進することに合意し、包括業務契約を締結したと発表した。アダニグループとの業務提携の強化を契機に、脱カーボン社会に向けたビジネスソリューションを創出し、カーボンニュートラル実現への貢献を目指す。

また、同社はシンガポールに合弁会社を設立し、インドで生産される再生可能エネルギーから作るグリーンアンモニア、肥料、メタノールといった派生商品を取り扱う。将来的には日本や台湾を中心にしたアジア市場を視野に入れた販売活動を行う予定だ。フェーズIとして、2028年をめどに年間100万トンのグリーンアンモニアの販売を目標としている。その他の提携分野として、(1)アンモニア混焼に関する検討の促進、(2)次世代燃料やリチウムバッテリーを搭載した電気推進タグボートの建造、(3)次世代型太陽光モジュールの生産など、協力分野は多岐にわたる。

加えて、20223月にもAPLIHIとの3社共同で、インド国内の石炭火力発電所からの二酸化炭素排出量削減を目指し、共同で実証事業を行うため覚書を締結している。APLがグジャラート州に所有するアダニ・パワー・ムンドラ石炭火力発電所で、アンモニア混焼の適用技術と経済性の検証を行うことが目的で、既設の石炭だきボイラーへのアンモニア20%混焼を前提とした各種技術検証などを行い、将来的には専焼まで混焼率を拡大していく予定だ。

アダニグループは、上場企業の時価総額が2,600億ドルに上るとされる新興財閥。グループ傘下の企業は港湾や空港、グリーンエネルギー、セメント、データセンターなどの分野で幅広く事業を手掛け、特に近年、太陽光発電分野では世界最大規模に急成長している(2022年1月20日記事参照)。直近の報道によると、AGELには風力・太陽光ハイブリッド発電所をラジャスタン州ジャイサルメールに新設する計画があり、同発電所は420メガワット(MW)の太陽光発電と105MWの風力発電から構成される。AGELは現在、7.17ギガワット(GW)の総発電量を誇る世界最大の風力・太陽光ハイブリッド発電事業者(「タイムズ・オブ・インディア」紙126日)。

(古川毅彦)

(インド、日本)

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