アダニが新エネ事業会社設立、世界一の再生エネルギー会社へ前進

(インド)

アーメダバード発

2022年01月20日

インドのグジャラート州を拠点とする新興財閥アダニグループの中核企業アダニエンタープライジズ(AEL)は、新たに完全子会社となるアダニ・ニュー・インダストリーズ(ANIL)を12月30日に設立した。ANILはグリーン水素プロジェクトを中心とする新エネルギー関連事業を展開する。同グループには、太陽光発電のアダニ・グリーン・エナジー(AGEL)と、送配電のアダニトランスミッション(ATL)があり、これら既存分野に新たにグリーン水素などの分野を加え、同グループは「世界最大の再生可能エネルギー企業」に向けてさらなる発展を目指す。

AELによると、新事業体は低炭素燃料と化学物質の合成、低炭素発電、グリーン水素の製造や関連下流製品、風力発電などのプロジェクトの主要部品や材料の製造に関連し、開発と運営事業を行う予定。また、同社は、太陽電池モジュール、バッテリー、電解装置、関連する上流工程、周辺部品の製造なども総合的に行う。

グループトップのゴータム・アダニ氏は2021年11月、「世界最大の再生可能エネルギー企業になり、地球上で最も安価な水素を製造したい」として、アダニグループが今後10年間に新エネルギー分野に700億ドルを投資すると発表していた(「タイムズ・オブ・インディア」紙1月9日)。

アダニグループのプレスリリース(2021年11月9日付)によると、世界最大の太陽光発電開発会社アダニ・グリーン・エナジー(AGEL)と、インド最大の民間送電・小売配電会社アダニトランスミッション(ATL)は、英国で2021年に開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約会議(COP26)の一環として、持続可能な開発目標の「SDG7」(誰もが使えるクリーンエネルギー)を順守したエネルギーコンパクト目標を宣言し、全ての活動でSDGsの達成を事業戦略の中心に据えているとしている。

AGELは、2030年までに45ギガワット(GW)の再生可能エネルギー容量を達成し、同社の料金体系が全国平均を下回ることを目標に掲げ、今後10年間で再生可能エネルギー開発に200億ドルを投資し、2022~2023年度までに年間2GWの太陽光発電製造能力を開発する予定。

また、ATLは、ムンバイの電力事業子会社を通じて、再生可能エネルギーの電力調達比率を現在の3%から2023年度までに30%、2030年度までに70%に引き上げるとともに、「SDG13」(気候変動緩和)の支援として売上原価当たりの炭素強度を削減する。ATLの役割は、災害に強いインフラを提供し、安定的かつ安全な電力供給をコミュニティーに保証することから、「SDG11」(持続可能な都市とコミュニティー)にも貢献しているとしている。

COP26でナレンドラ・モディ首相は「インドは2030年までにエネルギー需要の半分を再生可能エネルギーで賄い、二酸化炭素排出量を大幅に削減。2070年までに、ゼロ・エミッションの目標を達成する」と発表している。

(古川毅彦)

(インド)

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