供給網逼迫状況の指標GSCPI、12月に1.18で回復足踏み、中国のゼロコロナ政策緩和・流行再燃が響く

(米国)

ニューヨーク発

2023年01月11日

米国ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は1月6日、グローバル・サプライチェーン圧力指数(GSCPI)を更新外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、2022年12月は1.18になったことを明らかにした。GSCPIは9月の0.94を底にして、その回復に足踏みがみられるが、背景には中国のゼロコロナ政策の緩和が影響しているという。

GSCPIは、米国内や国際的なサプライチェーンにどれだけ圧力や混乱が生じているかを表す指標で、NY連銀が開発した。輸送コストを追跡するバルチック海運指数や、各国の製造業購買担当者景気指数(PMI)など27の変数を基に算出する。データ期間の平均をゼロとし、値が大きいほどサプライチェーンが逼迫している状況を表す。2022年1月に公表が始まり、毎月4営業日目に更新される。

12月のGSCPIは11月の1.23からはわずかに改善したものの、ほぼ横ばいであり、過去3カ月間で回復の動きは止まっている。NY連銀によると、最近の回復鈍化は中国のゼロコロナ政策の緩和を背景としたコロナ流行再燃が主因としており、中国の供給状況の悪化が近隣の貿易相手国にも波及していると分析した。過去3カ月間においては、アジア発の航空貨物のコストと韓国への配送時間の増加がサプライチェーンへの圧力を高めたとしている。

11月の米国小売業者向けの主要輸入港の輸入コンテナ量は前月比11.3%減の178万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)と、2021年2月(187万TEU)以来の低水準で(2023年1月11日記事参照)、コンテナ量自体は現在落ち着いているため、2021年から2022年にかけてのようなサプライチェーンの混乱につながる可能性は低いとみられる。ただし、2023年1月下旬から2月上旬にかけて中国の春節(旧正月)に伴って、世界的にヒト・モノの往来の増加も予想され、サプライチェーンの混乱が今後悪化する懸念もあり、引き続き留意が必要だ。

(宮野慶太)

(米国)

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