12月のインフレ率は前月比0.62%、2022年通年では5.79%に

(ブラジル)

サンパウロ発

2023年01月20日

ブラジル地理統計院(IBGE)は110日、同国の代表的な物価指数である拡大消費者物価指数(IPCA)につき、202212月の上昇率を0.62%と発表した(添付資料表参照)。これにより、2022年(通年)の上昇率は5.79%で、中央銀行の2022年インフレ目標である3.5%と同上限値5%を超過したものの、2021年の10.06%よりは低下した。

12月の前月比インフレ上昇率を費目別にみると、9項目全てで上昇した。最も上昇率が高かったのは保健・個人衛生品(1.60%)。次いで、衣類(1.52%)、飲食料品(0.66%)と続いた。寄与度でみると、保健・個人衛生品(0.21ポイント)、飲食料品(0.14ポイント)が高い。保健・個人衛生品と飲食料品で寄与度全体の56%弱を占める。

IBGE12月の上昇率について、保健・個人衛生品は、国民健康保険庁(ANS)が20225月に15.5%を上限とする医療保険料金の引き上げを許可したことが影響したと説明したことに加え、その他価格が上昇した具体的な品目として、香水、化粧品、スキンケアなどを挙げている。2023110日付現地紙「バロール」によれば、これらの個人衛生品は202211月のブラックフライデーで割引されていた商品価格が12月に戻ったことによる影響だとしている。飲食料品については、タマネギやロングライフ牛乳(注)、ジャガイモ、フルーツ、フランスパンの価格上昇が大きな要因だったと説明した。

2022112月累計のインフレ率を寄与度でみると、飲食料品は2.41ポイントとなっており、全体(5.79ポイント)の半分近くを占める。その要因としては、ブラジル経済省傘下の応用経済研究所(IPEA)が2023113日付の公式サイトで公開した「食料品のインフレ(2022年の食料品の価格変動)」によると、ラニーニャ現象など、農作物の栽培に適さない気候や肥料価格の上昇などによる生産コストの上昇で主要作物に影響を与え、ロシア・ウクライナ間の情勢変化により小麦などの価格が上昇したことも相まったと、説明している。

(注)Leite Longa Vidaと呼ばれる。超高温殺菌製法で製造され、未開封の状態で長期間、常温保存が可能な牛乳。

(古木勇生)

(ブラジル)

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