政府が有機フッ素化合物に関するアクションプランを発表

(フランス)

パリ発

2023年01月25日

フランスのエコロジー移行・地域結束省は1月17日、有機フッ素化合物(PFAS)に関する2023年から2027年のアクションプラン(行動計画)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。PFASは、非粘着性ではっ水性が高く、耐熱性に優れた化学物質。1950年代以降、繊維、食品包装、消火剤などさまざまな製品に使用されているが、難分解性で自然界や体内に蓄積されるため、近年、環境汚染や健康への影響が懸念されている。

アクションプランは以下の6項目を柱とし、項目別の概要は以下のとおり。

(1)排出と環境に関する基準の策定:食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が自然界、特に水中のPFAS濃度値の上限を決定し、工業用地や排水処理場などPFASを多く排出する事業活動の可視化を強化する。

(2)PFASの使用や市場投入に係るリスクを排除するための、欧州レベルでの禁止措置の実現

国内に限らず、欧州レベルでの規制も求める。規制に向けてドイツ、デンマーク、オランダ、スウェーデン、ノルウェーの5カ国がフランスの支持を受けて、一部のPFASを含むポリマーをREACH規則(化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規制)の対象に組み入れる提案書を欧州化学品庁(ECHA)に1月13日提出した。

(3)国民の暴露を削減するため、排出や環境汚染に関する知識を向上させる

暴露が懸念される区域でその実態を把握するため、モニタリング調査を実施し、排出や環境のデータに関する情報を関係機関で共有する。工場の操業停止時には、PFASに関する土壌の汚染調査を実施する。

(4)産業界のPFASの大幅な排出削減

大量のPFASを排出する可能性のある産業施設を特定する。2022年2月8日に同省が実施したPFASに関する総点検の結果に加え、水道局、地方自治体、地域保健局(ARS)のサンプル調査の結果を活用し、水路の汚染や汚染地域を特定する。PFASの排出量が多い業種の工場には、排出物に含まれるPFASの分析を課す。

(5)情報の完全な透明性の確保:政府は分析・調査結果を公表する。

(6)PFASに関するアクション(行動)の微量汚染物質計画への統合:PFASの行動を2023年に上半期に策定される第3次微量汚染物質計画に取り込む。

(奥山直子)

(フランス)

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